横浜市立小中学校の運動会・体育祭で行われている組体操について、2012年度から14年度までに305件のけがが発生し、そのうち77件は骨折の重傷だったことが分かった。
けが件数は小中学生が原則加入し、けがが発生した際に申請する災害共済給付制度の届出数を基にしたもの。同給付制度を実施している独立行政法人日本スポーツ振興センターの統計によると、全国では2013年度に組体操時のけがが6349件発生している。
組体操には背に乗るピラミッドや肩の上に立つタワーなど下支えの負担がかかる種目や、高さがある種目がある。練習、本番ともにけがが発生している状況だが、横浜市教育委員会によると組体操は実施を義務付けられているものではなく、各学校長が行うか、行わないかを判断しているという。
達成感かリスクか
組体操を実施している市立小学校の校長は「組体操は手や足を伸ばす、支えるといった日頃の運動の延長線上。児童が力を合わせて耐えることで達成感もある」とその意義を話し、「実施に疑問はあるが、伝統種目として保護者からの期待もある」と胸の内を明かす。
一方、ある市立中学校は、練習中に生徒が大けがしたことを受け、組体操から別の団体演技に切り替えた。校長は組体操の教育的価値に理解を示しつつも、子どもの体力低下や練習時間確保の難しさから「今後注意をしてもけがは発生する」と判断。「けがをしてまでやることではない」と話し、「楽しみにされている伝統種目をやめる難しさはあるが、安易に『例年やっているから』と続けるのではなく、見直しをして実施を判断することが大切では」と指摘していた。
「各校の自主性尊重」
組体操の内容に規制を出す動きもある。大阪市教委は、けがの多さやピラミッドなどの種目で高さを競う風潮、指導教員の経験不足を理由に、9月からピラミッドは5段、タワーは3段までと高さに制限をかけ、けが防止に力を入れ始めた。
一方、横浜市教委は、けがの発生状況を把握しながらも「学校ごとの自主性を重んじ、一律に規制をかける必要性は考えていない」との立場で、けが防止に関しては研修の中などで注意喚起を図っていくとの対応に留めている。
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