第5回「横浜・人・まち・デザイン賞」を受賞した 吉武 美保子さん 旭区在住 47歳
「自然は先生」
○…里山、自然などの保全活動を行うNPO団体を立ち上げたのは今から約10年前。活動を通じて鴨居原市民の森再生を地域住民と一緒になって取り組んだ。「愛護会の人たちの活動を見守るだけだったのに、こんな賞を頂いて」と謙遜するが「一緒に活動した人が推薦してくれたことがとにかく嬉しかった」と受賞を喜んだ。
○…生まれ育った北九州から横浜に越してきたのは小学3年生の時。そこで見た景色は、田んぼや自然が広がる北九州の田舎と何ら変わらないものだった。当時住んでいたのは緑区(現青葉区)榎が丘。「周りは自然に恵まれ、野生のニワトリを追っかけ回したり、ひばりの巣なんかもよく発見していました」。そんな自然を愛する少女が間近で見てきたのが、港北ニュータウンや田園都市沿線の開発。「生活が便利になっていく反面、自然が壊されていく様子を見てきて悲しかった」。そんな思いが現在の人と自然をつなぐ活動の礎となっている。
○…10年前に関節リウマチを発症。今では歩くのに杖が手放せない。発症前は森や里山の奥まで足を運び、研究や観察を行っていた。「今は身体を動かすことができないので、人に託すことしかできないんです」。現在、自身は自然保全活動を計画する”コーディネーター”の役割を担う。「計画を実行するためには人が動くが私は動けない。だからこそ周りの人の優しさを感じずにはいられないんです」。人への感謝の心も自然が教えてくれる。
○…「地域の緑は地域の手で守る」が理念。「森には様々な生き物がいて、すべて命がある。そこから人々はエネルギーをもらい、癒しを感じる。特に近くにいる人がそれを感じることができる」。だからこそ、周辺住民が守っていかないといけないと考える。自身は自然から多くを学び”自然は先生”と例える。そんな人と人を繋ぐ自然への思いはこれからも変わらない。
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