看護の日にちなみ横浜創英大学で行われるイベント(5月9日)の準備に取り組む 市川 茂子さん 横浜創英大学(三保町)看護学部准教授 62歳
看護への恩返し、胸に
○…「今年は、短大から大学になって初めて4学年の学生が揃う年。今回のイベントを通じ、やっと歩き始めた大学のことを多くの人に知っていただけたら」。看護大学としての完成年度を迎え、大学が力を入れてきた「看護の日」のイベント準備に奔走する。地域とともに成長する大学をテーマに掲げる中で、「理念や目指すところをどう知ってもらうか」は最も重要な命題ととらえている。
○…1953年、鹿児島県生まれ。看護師資格取得とともに上京し、聖路加国際病院に勤務した。看護の最先端とも言える華やかな職場で実績を積んだ。そこで実習生の世話役に抜擢されたのを機に、教育を本格的に学ぼうと決意。日本医科大学から「教員畑」を歩むことになった。「現場にいるだけでは分からない看護の基礎的な考え方=『土台』を学べたこと、多くの学生さんと出会えたことは私の人生の中で大きな転換点となった」
○…結婚を機に夫の実家がある山梨県甲府市に引っ越した。平日は教壇に立ち、週末には夫の仕事である農業を手伝う。原木椎茸栽培に山菜摘みなど土や草木に触れ、自然の恵みを肌で感じる瞬間にたまらなく幸せを感じる。「今の暮らしが丁度良い。心と身体のバランスを保ち、人間らしい生き方ができることに感謝している」とほほ笑む。
○…看護の屋台骨とも言える「基礎看護学」の授業は看護師を目指す学生が最初に学ぶ、いわば「登竜門」。今年も多くの若者が志を胸に入学してきた。「その学生たちに、最初に教えるのが自分。これから花開く看護人生の最初の一歩に立ち会えることは光栄なこと」。教員生活が30年を超えても、毎回、最初の授業は身が引き締まる思いで挑んでいる。「健康で教えられる間は学生たちのためにできる限りのことをしたい。それが看護への私なりの恩返し」。看護の分野へと歩き出す若者たちの力になりたいと教壇に立ち続ける。
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