港北区は、区内市民団体と協力して行っている防災対策を含めた環境学習事業・「港北水と緑の学校」(注)のノウハウを、フィリピン共和国イロイロ市に伝える取組みを進めている。同市の治水管理に協力することが主な目的だ。
港北区とイロイロ市の交流が始まったきっかけは昨年5月、河川管理の優良事例を同市に紹介することを目的に開かれた「フィリピン国際リバーサミット」で、区区政推進課の小田嶋鉄朗係長が「港北水と緑の学校」を、環境学習の取組みとして発表したことによる。加えてイロイロ市はイロイロ川やハロ川が流れる人口約41万人、面積約56平方キロメートルの都市で、鶴見川が縦断する区と人口や面積を含め特徴が似ているため、お互いに情報を共有していくこととなった。
イロイロ市は、下水道の整備が遅れており、治水の問題を抱えている。しかし、市民は管理を「行政任せ」にしてしまっているという。
区ではそうした同市の状況を改善させることが重要とし、【1】市民が河川に関心や愛着をもってもらうため、生き物の観察会や環境学習などの施策を行うこと【2】その上で下水処理施設の普及―などのノウハウをイロイロ市に伝える考えだ。
昨年11月、同市の職員や地域のリーダー8人が港北区に研修に訪れ、TRネットのメンバーや京浜河川事務所員らがレクチャーにあたった。8人は、日産スタジアムにある遊水地の見学や鶴見川の清掃や自然観察会などを通して、環境学習や防災・治水をテーマにした地域づくりの工夫を学んだ。参加者からは「どうしたら市民が河川に興味をもってもらえるか」「子どもたちが河川で学習する際の安全対策が知りたい」といった声が上がっていた。
区ではこの取組みを次年度で予算計上する考えで、市に申請をしている。実現すれば今夏、横浜市で初めて他国に環境学習事業のノウハウを伝えることとなる。小田嶋係長は「イロイロ市は港北区の30年前ごろの状況に似ている。まずは河川管理の面で情報を提供し、改善に協力していきたい」と語った。
港北区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|