今年30周年を迎える港北区民交響楽団の団長を務める 富山 辰夫さん 鶴見区在住 63歳
アマチュアの誇りと楽しさ
○…「アマチュアでやることは誇り。雑草みたいな人たちがそろっている」。現在、80人ほどの団員を抱える団のトップを務める。学生やサラリーマン、仕事や子育てを終えた人など、様々な人たちが毎週土曜日に集まり、音を重ねる。指揮者を変えるなど、質を上げることに専念する一方で、練習の負担を減らしたり、体験会を行ったりと参加しやすい団へと努めてきた。
○…8年前に3代目の団長に自ら手を挙げた。「みんなアマチュアだからこそ、プロ並みの演奏を目指して頑張れる」と魅力を話す。団長の傍ら、現在もチェロ奏者として舞台にも立つ。「損得じゃなく、理由もない。好きだから好き。情熱だ」。同じ気持ちを共有する仲間と音楽を奏でる。
○…3才から結婚まで篠原北で過ごす。母の影響で6才からピアノを始めたが、練習が嫌いで小5でやめてしまった。しかし、その後も音楽は好きで、大学時代に早稲田のオーケストラに入団。そこで、チェロに出会った。先生に付いたり、海外にいったりと本格的に練習を重ね、一旦はプロを目指すが父親の「音楽は男の仕事じゃない」という反対を受け、銀行に就職。営業として懸命に働く中、42才の時に体調を崩してしまう。医者から「仕事をセーブして、好きなことをやりなさい」と言われ再び音楽を始めたのが23年前の同団体との出会いだ。「最初にピアノを習った先生に会いたい。基礎を教えてもらったから、今でも続けられている。お礼ともう少しうまく教えてよって文句をいいたい」と笑顔を見せる。
○…仕事は来年3月に定年を迎える。その翌月には団長も降りる考えだ。「あまりトップが長いこと変わらないのもよくない。若い人に任せたい」。これからもかかわっていく一方で、四重奏などの演奏会なども出演し、楽しんでいく。「プロにならなかったから、こんなに音楽を楽しめる。父親に反対されてよかったかも」と目を細めた。
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