12月30日〜1月9日に国立競技場などで行われる第90回全国高校サッカー選手権大会に、神奈川代表として出場する桐光学園(川崎市)。旭区の今宿小、鶴ヶ峯中出身で白根在住の高橋孝友(こうすけ)君(18)は、攻撃の一角を担うフォワード(FW)の一人だ。4174校の頂点を目指し、31日の初戦、初芝橋本(和歌山)戦に臨む。
チーム全体の技術は決して高い方ではなく、試合に出る11人は固定されてないという。「練習でも常にプレッシャーは感じている」
エースストライカーの証「背番号9」を託され迎えた10月の全国大会県予選では、準々決勝の藤沢清流戦で後半始めから出場。1―1の同点で迎えた延長前半、勝ち越し点を決めて流れを引き寄せ、4―1の勝利に貢献した。
「辛くなったら声を出して励まし合え。スタンドを見ろ」とは宮本侑弥コーチの言葉。「みんなで声を出して、雰囲気を盛り上げられたのがよかった」と予選3試合を振り返る。続く2試合にフル出場して得点は奪えなかったが、チームは11月の準決勝で座間に1―0、決勝は三浦学苑に2―1で競り勝ち、3年ぶり6回目の本戦出場を決めた。
「失点を恐れて全体的に引いてしまったのが反省点。全国では簡単に点は取れない。一つのチャンスでゴールを決められるFWがいれば勝負できるはず」。勝利の立役者になることを誓う。
ヘディングに自信
スピードのあるドリブルと、180cmの体格を生かしたヘディングを武器に泥臭くゴールを狙うスタイル。以前は守りの要、センターバック(CB)も務め、競り合いの強さには定評がある。そのお手本は、日本代表の背番号9・岡崎慎司選手(ドイツ・シュツットガルト)だ。「技術はない分、常にゴールの意識は強く持つようにしている」
ぜんそくで体が弱かったため、「何かスポーツを」と小学1年生から始めたのがサッカーだった。「みんなでよくサッカー選手のフリーキックを真似してた」。偶然にも、当時から桐光OBの中村俊輔選手(横浜F・マリノス)に憧れていたサッカー少年。小学生時代は旭区の今宿SC、希望ヶ丘ライオンズに在籍した。
中学生では当時の横浜FC泉ジュニアユースで、サッカー第一の生活スタイルや挨拶、マナーなど基礎を仕込まれた。南米で選手、指導者の経歴を持つ屋良充紀監督(当時)の下で教わった、「いかに楽しくプレーするか」という心構えが染みついている。
サッカーでこれまで楽しさと充実感を味わってきた高橋君にとって、桐光サッカー部は苦難の連続だった。「入部したてのときは周りがうまい人ばかりで、試合に全然出られなくて。先輩も厳しかった」。高2でもベンチ入りの20人枠から出たり入ったりの繰り返し。それでも腐らずに続けられたのは、「メンバー入りのためにあきらめない」という思いを抱いてきたからだ。
「練習では監督にアピールしようと、常に一つひとつ全力でプレーしてきた」。ピッチを走り続け、貪欲にゴールすることが己の役割だと力を込める。
同学年の絆、胸に
「メンバーに恵まれた」との言葉通り、チームの特徴の一つに3年生同士の深い絆が挙がる。「一つのプレーをみんなで盛り上げる独特の雰囲気がある」。主将で瀬谷区在住の佐野弘樹君、県予選決勝で先制ゴールを決めた小村研人君、小学生時代のチームメート・三荷淳也君とは特に仲がよく、一緒に帰宅することも多いという。真面目で頼れる佐野君に、声を出すムードメーカー的存在の小村君。多様な個性が融合し、相乗効果を生んでいる。
「(自分は)しゃべるのはあまりうまくないけれど、プレーで見せるタイプ」。好きな言葉は「怠る者は不満を語り、努力する者は夢を語る」。地元・神奈川大学への進学が決まっている高橋君が見据えるのは、プロ・Jリーグ選手への道だ。
31日初戦は地元・ニッパツ三ツ沢競技場で12時5分キックオフ。4回勝てば、準決勝で国立競技場のピッチに立つことができる。部員48人の心を一つに、高校最後の大舞台で「点取り屋」として己のプレーを貫く。
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