政府は秋の褒章受章者を11月に発表。笹野台会館=旭区笹野台=で高齢者向けの食事会を33年続けてきたボランティア団体「笹野台昼食会」が、緑綬(りょくじゅ)褒章を受章した。旬の食材にこだわり、憩いの場を提供し続けてきた「思いやりの心」がここにある。
同団体は1980年、民生委員5人で発足。登録会員は65歳以上の一人暮らしや80歳以上の住民らが対象で、当初は十五、六人ほどだったという。現在は60人を超える登録会員の大半が、昼食会に参加している。
「歴代の代表がつながって、ここまで歩んでこられた。活動が長年続いてきたのはすごいこと」。6代目代表の樫本咸子(みなこ)さん(66)は就任5年目を迎える。調理、運営等に携わるボランティアは笹野台連合自治会の会員や民生委員ら約30人。8月を除く毎月第一水曜に昼食会を開いている。食後には笹野台小学校の児童や市民サークルによる歌や楽器演奏、手品が毎回企画され、地域交流の場になっているのが特徴だ。
食事は旬の野菜を中心にした懐石風の手料理で、1人前300円。2月と7月に半年分の献立と十数人の当番を決めている。活動日の2日前までに出席人数を確認し、ボランティアの分を含め、60食分近い食材を前日に購入する。
活動は朝から半日以上に及ぶため、「重労働だけど、会員がみんな楽しみにしてくれている。喜ぶ笑顔を見ると、やっててよかったなと実感する」と樫本さん。終了後も、衛生管理や事故防止など配慮は多岐にわたる。「いろいろなことに常に気を配っているが、みんなの努力のおかげで無事やってこられた。75歳の定年までは続けていきたい」と充実感をにじませる。
12月5日の献立は和風ロールキャベツのスープ仕立て、かぼちゃのポタージュなど。当日は笹野台小学校の3年生三十余人が訪れ、校歌合唱やリコーダー演奏などを披露した。校歌で指揮を担当した角田桜さん(9)は「指揮の前は緊張したけど、楽しんでもらえてよかった」と笑顔に。昼食会に初めて参加した田中稔(みのる)さん(72)は「食事は素晴らしかった。子どもたちは歌が上手で、楽しませてもらった」と感想を話した。
来年2月からは、1月にオープンする笹野台地域ケアプラザに会場を移す予定。現在使っている会館よりも広くなるため、定員枠拡大も検討する見通しだ。
今回の褒章は全体で712人、24団体が受章。県内では33人、1団体だった。
![]() 5日は地元児童と交流
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