横浜市は10月、自転車に関する総合計画の策定に着手すると発表した。従来から行っている駐輪場対策に加え、自転車路の整備やルール周知などについて検討を進めている。計画は、2014年度中に自転車等施策検討協議会で素案を取りまとめ、15年度に市民意見公募を行い、確定する考え。
市内での自転車利用は増加傾向にある。それに伴い、交通ルールを守らない人も増え、さまざまな問題が顕在化してきている。市では「みんなが快適に過ごせるまち」の実現に向け、「まもる・はしる・とめる・いかす」の基本方針を軸に施策の検討を進めている。
「はしる」の中で課題となっているのが、安全・快適に道路を通行できる環境をつくるための「通行空間」の整備だ。軽車両である自転車は、歩道と区別のある道路では車道の左側を走ることが原則となっている。市でも自転車が走る場所を色やマークで明示し、ルールが分からない人でも一目で理解できるように整備することで、車道の利用を促す施策例を挙げている。
歩車分離路は11%
しかし、市が管理する道路の8割近くは歩道などがなく、自転車以前に歩行者と自動車との分離も不十分なのが現状だ。すでに06年から自転車専用通行帯(レーン)や自転車通行部分の明示など、「自転車ネットワーク」の整備が進められているが、整備個所は計画総延長(約263Km)の約11%に留まる。
自転車ネットワークでの整備の対象はレクリエーション施設などを結ぶ路線が多いことから、今後駅周辺など、利用者が多い場所を中心に計画を修正することも視野に入れているという。
周知に課題
また基本方針の一つ、「まもる」にも共通する課題として、利用者の意識の低さ、交通ルールを知る機会の不足などがある。11年に警察庁が行った調査によると、「原則車道通行」と知りながらも守らないことがある人が半数近く。また同年の内閣府の調査では、高齢者の7割が交通安全教育を受けたことがなく、若い世代でも小学校以外での受講がほとんどない。今後、すべての年代が「自転車は車両」という正しい知識を持つための伝達・周知の方法が検討される。市担当者は「利用者だけでなく、自転車に乗らない人にも快適な環境づくりを進めたい」と話す。
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