「お父ちゃんボクサー」が、悲願の世界王者に―。万騎が原在住のプロボクサー、八重樫東(あきら)選手(28)が、10月24日に開催されたWBA世界ミニマム級タイトル戦で勝利し、王者の座を奪取。2人の子どもにも、「お父ちゃんは世界一強い」と証明した。
試合は10ラウンドでTKO(審判などが試合続行不可能と判断し、勝敗が決まること)勝ち。初の世界王者をつかんだ。戦いを振り返り八重樫選手は、「途中もうダメだと思った。打っても打ってもパンチが効かず、相手がどんどん前に出てきて」と話す。前半はポイントでしのいだものの、中盤以降は相手のペースに巻き込まれ、いつも以上に精神的、体力的にきつく感じた。途中掲示板を見るとまだ4ラウンド目。「あと8ラウンドある。まだまだ長い」と思ったという。終盤、相手が一瞬ひるんだ。「ここで決めないと」。その隙を見逃さなかった。
世界挑戦は2度目。4年前WBCミニマム級に挑んだが、試合中に顎を骨折し、悔しい結果に終わった。「4年前と今回の試合は全く別物。でも、技術的にはまだまだだったなと思う」と振り返る。
故障やケガで昨年は思うように練習できず、ボクシングをあきらめることも考えた。しかし「やり続けなきゃ意味がない。途中でやめてどうする」と自分を奮い立たせた。
子どもに見せた戦う父の姿
八重樫選手の長男、圭太郎君(6)は「戦うお父ちゃんはかっこよかった。(会場で)たくさん応援したから勝って嬉しい」と笑顔を見せる。「お父ちゃんは世界一強いんだよって、子どもたちに見せられたかな」と八重樫選手。勝ったら圭太郎君と、ディズニーランドに行く約束もした。「何とか守れそう。いつも応援してくれる家族には感謝です」という。圭太郎君も「初めて行くから、今から楽しみ」と心待ちにしている様子だ。
落ちついたら、故郷の岩手県にも帰る予定だ。「何か少しでも力になりたい。チャンピオンベルトを持っていって皆さんに喜んでもらえれば嬉しいし、力仕事も手伝いたい」
世界王者になったが、「自分が目指すのは相手に打たせないボクシング。今回の試合はそれができなかったので、今後も理想を追い求めていく」と気を引き締める。「常に上を見ないと。自分より強い選手はたくさんいるから」。お父ちゃんボクサーの挑戦は続く。
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