子どもの貧困対策に関する具体案をまとめようと、横浜市は数値的な実態把握のための初の大規模調査に乗り出した。7月22日には計画策定に向けた連絡会を発足。市民アンケートや支援団体への聞き取りを踏まえ、調査結果や方針を9月末頃に発表する見通しだ。
30年で1・5倍
平均所得の半分以下の世帯で暮らす18歳未満の割合を指す「子どもの貧困率」。厚生労働省によると2012年は16・3%で、調査を始めた1985年以降最も高く、OECD(経済協力開発機構)加盟国34カ国のうち25位となっている。
今回の調査は、子どもをとりまく経済状況を中心に市の実態を把握するのが目的で、8月には6千世帯にアンケートを発送。児童相談所や区役所など公的機関、民間の支援団体への聞き取りは始まっており、来月までに10カ所程度を想定する。市こども青少年局の担当者は「市内の生活保護受給世帯は、2010年4月の1・65%から4年間で1・9%に増えている。子どもが置かれている経済状況は変化しているので、地域ごとに実態を把握して計画に反映させたい」と話す。
22日に発足した計画策定連絡会には、大学教授や市民団体メンバーら外部委員を含め25人が集まった。来年3月まで会合を5回程度開き、調査方法や分析、計画の方向性について協議していく。
区主体で学習支援
経済的な生活困窮など支援が必要な家庭に育つ小中学生らを対象に、市は昨年度から「寄り添い型学習等支援事業」を区主体で進めている。勉強を教える教室など各区1カ所以上、計20カ所設け、民間法人らに委託し運営する仕組みだ。
学習支援では高校進学を目標の一つに掲げており、公共施設などを使い20人程度で行う。同事業の委託を受ける、学習塾等を展開する(株)栄光の担当者は「経済格差の有無は子どもたちが選択できるものではない。未来に向け、自治体は教育事業に一層力を入れてほしい」と期待を込める。
経済的格差に基づく子どもの貧困は、地域性により異なる。各区の事情等を考慮し、実態に沿った計画づくりを目指して、市は議論を重ねる必要がありそうだ。
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