自閉症喜多学さん 力作がコンクール入賞 来年のカレンダーに採用
保土ケ谷区にある障害者作業所「夢21西谷(特)」に通う喜多学さん(瀬谷区在住)の描いた絵が、きょうされん(旧称・共同作業所全国連絡会)主催のコンクールに入賞。同連絡会が制作する2013年版のカレンダーに採用されている。
「塗る」は至難
喜多さんが入賞を果たしたのは「きょうされんグッズデザインコンクール・カレンダー部門」。全国にある障害者作業所などから寄せられた1918点の応募作品の中から選ばれた。
絵のタイトルは「スイカいただきます!」。約半年間の期間を費やし、クレヨンと水彩絵の具で描かれた明るいタッチの作品は、皮と思われる緑部分が上になっているユニークで大きなスイカが印象的。施設長を務める谷口実さんは「『しっかりと塗る』という工程が、本当に大変だったんです」と、制作の苦労を説明する。
今回の絵には、細部にわたって配色が施され、スイカの「種」まで丁寧に描写されている。
着実に成長
瀬谷区在住の喜多さんは1976年生まれの35歳。生まれながらに自閉症で、県立三ツ境養護学校を卒業後「夢21西谷I」に入所。菓子箱の組み立て作業などに従事している。この施設の2階では「絵画教室」が開かれており、約10年前からは作業の傍ら絵の世界にも没頭するように。初めは丸や四角、三角を描くだけでも四苦八苦していたが「今ではブドウや信号などを描き、中の色を塗り分けられるようになった」と、当時を知る関係者。その成長ぶりに目を細める。
また、毎年実施されているこのコンクールへの作品応募についても、ほぼ毎回のように出品。約10年に及ぶ努力が自身のレベルアップにつながり今年、念願の初入賞となった。
みんなの励みに
自閉症のために普段は表情が読み取りにくく、喜びのコメントもなかった喜多さん。だが作品が壁掛けカレンダーに採用され「7月」のデザインとなって届けられると嬉しそうに見つめる場面がみられたという。このカレンダーは「はたらく仲間のうた」として同作業所(【電話】045・371・4233)などで販売されている。谷口施設長は「全国規模のコンクールで入賞者が生まれた事は、作業所に通う他のメンバー達にも大いに励みになる。これからも毎年、作品を応募できるようバックアップしていければ」と話している。
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