新橋町で介護・障害者支援事業などを行う、NPO法人ハッピーライフ理事長の内藤秀夫さんが、宮城・石巻市の東日本大震災被災事業者や東京、神戸など全国の福祉関係のNPOとともに立ち上げた、日本震災福祉支援協会の副理事長として、高齢者や障害者施設の復興支援を続けている。
今なお困難な生活を余儀なくされる被災地では、津波被害を受けた多くの施設が再建のために借金を重ねなければならない状況で、事業の継続困難からくる倒産も心配されている。
雇用面やサービスを利用する高齢者、障害者にとって不利な状況も予想され、介護状況の改善や事業所の復興支援を目的に、内藤副理事長らは同協会のNPO法人化を目指している。
行政の補助金や助成金などの財政面をはじめとするサポートの受け口となるほか、各組織の活動もサポート。現場の実情を国、県、市町村に伝えるとともに、必要な政策や施策を提言し、実用化も目指す。
今秋には現地に、ふれあいカフェを立ち上げる計画もあり、泉区総合庁舎1階で健常者と知的障害者がともに働く、ふれあいショップサニーの伊藤登志子店長も立ち上がった。
内藤さんが被災地の福祉支援に取り組んだのは、震災当日に泉区内で行った高齢者、障害者の帰宅困難者への支援などがきっかけだった。
泉区にも帰宅困難者がいると判断し、障害者の送迎を試みるも警戒され、杖をついた高齢者が家族の迎えを待ち、2~3時間、5時間と経っても、乗車拒否された。ようやく乗ってくれたのは8時間後で「ボランティア文化が根付いていない」と実感。被災地はさらに状況が良くないと考えた。
翌12日には被災地に行こうと決めたが、原発事故の影響が懸念され「待った」がかかった。1週間ほど活動依頼を待ったが、いてもたってもいられず宮城県介護保険課に連絡し、石巻市雄勝(おがつ)町の様子を見てほしいと要請を受けた。
神戸や大阪の友人、NPO法人高齢者・障がい者の旅をサポートする会の久保田牧子理事長らと石巻入りすると、現地の子どもも大人も「笑いがなかった」という。震災後、長期間にわたり風呂に入れない状況では、無理もなかった。
雄勝の介護保険課支部では車両がすべて緊急要請に回ったため、動きたくても動けない状態で、内藤さんらは看護師や保健師を乗せ、震災後初めての調査に協力した。このような状況から、排せつや口腔など、介護の中間マネジメント介護人材の派遣、入浴車両の提供、ボランティアの拠点(宿泊)づくりなどが必要と考え、支援活動を続けてきた。
カフェをベースに
日本震災福祉支援協会の理事長には、経営するグループホームが津波で流された小笠原均さんを据え、内藤さんは副理事長として尽力している。当面は被災地のコミュニティ再生をテーマに、①カフェ開設②見守り活動③相談事業の3つのプランを進め、内藤さんは1週間に3日以上、仙台に滞在する。
3つのプランのベースとなるのがカフェで、各仮設住宅から徒歩15分以内で立ち寄れる地に設置する。カフェの運営者は地元住民で、障害者施設での従事経験のある人や障害者を雇用。カフェに談話室を設けるほか、各種イベントや趣味のサークル活動等で仲間づくりをしやすい雰囲気を心掛ける。
カフェ経営のアドバイスを行う伊藤さんは「いつも窓から見る風景は一緒で、違う形式を見ながらコーヒーを飲みたい」と被災者から要望された。伊藤さんはサニーでつきあいがある三本コーヒーの協力で150円くらいで提供できたら、コーヒーとライブをワンコインでできたらとし、「自分の仕事の集大成に。石巻の人のために、地元の弱い人を支援していきたい」と意気込む。サニーでは震災による大津波で壊滅的被害を受けた雄勝町のわかめなどの海産物を販売している。
新橋町で介護サービスを立ち上げたばかりの内藤さん(080・3543・6386)は「ほんの少しでも力を貸してほしい。全国のフォロー、マンパワーが必要」と協力を呼び掛けている。
同協会(http://sinsaishien.web.fc2.com/)は被災福祉施設の再建支援、倒産防止、入浴車両や介護車両の寄贈などのため義援金(横浜銀行横浜駅前支店 普通6082517ニュウヨクシャリョウヲオクロウプロジェクト)と介護者派遣の支援金(横浜銀行横浜駅前支店 普通6082508ニホンシンサイフクシシエンキョウカイ)を募集している。
石巻市の調査に協力(写真提供・内藤さん)
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