少子高齢化と晩婚化に伴う育児、介護の同時進行「ダブルケア」を支援しようと、横浜市が動き出している。市や大学、関係団体が参加した研究会が担い手になる事業者向け相談会を今月開催するほか、市内の実態把握を行った上で、来年3月には市発行の政策研究誌で成果を発表し、政策に生かす方針だ。
高齢化晩婚化 急速に進行
ダブルケアをめぐっては、働き方や家族構成など主に女性をとりまく背景の変化があり、当事者の孤立や企業における人材流出などが問題視されている。市政策局は「晩婚化が進む2000年以降、核家族が減り単身世帯が増えている。40代で出産した働く女性なら、仕事と育児、親の介護を同時に担うケースもあり、体力的な負担は大きい」と指摘する。
5年前の国勢調査に基づく12年の市の推計によると、25年に75歳以上の人口は10年の33万人から59万人に増え、30〜40代は116万人から91万人に減ると予測。一方で出産年齢が35〜39歳の母親の割合は、02年の14・5%から10年間で26・4%と急増している。
25年には10年比で出生数7千人減、子育て世代25万人減、就業者5万人減などの推計もある。高齢化や晩婚化に対応した育児、介護支援の産業育成、情報の共有化は喫緊の課題となっている。
12月中に相談会
こうした状況を受け、市政策局は横浜国立大学経済学部附属アジア経済社会研究センター、横浜市男女共同参画推進協会と、9月に研究会を発足。約50人が参加した。
今後は企業やNPO、研究機関等に参加を呼びかける。3回目は12月中の予定で、複数の事業者を交え、テレワークなど多様な働き方の支援について相談会を行う。同局は「企業間で連携しノウハウを共有していきたい」と期待する。
支援活動を行う任意団体「ダブルケアサポート横浜」の当事者向けプロジェクトのリーダー、植木美子(よしこ)さん(43)は「既存の仕組みや市局同士の連携など横のつながりを生かし、孤立する当事者の支援が必要」と話す。来春の成果発表に加え、市はウェブサイト改編に伴い、ダブルケアをモデルにした総合データベース「地域力ポータルサイト」も開設する予定となっている。各部署にまたがる情報を共有、可視化し、産業育成や雇用創出にもつなげていく考えだ。
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