子どもを小・中学校へ通学させるのに経済的な理由で困っている人に対し各種費用を援助する「就学援助制度」。横浜市はこのうち、入学準備費について小・中学校ともに入学前の3月支給に向け、検討を進めている。
中学で先行実施
就学援助制度は、すべての子どもに義務教育を保障するための制度で、横浜市では条例に基づいて支給している。援助を受けられるのは、生活保護を受けている人などのほか、同一生計の家族全体の収入が限度額以下にある家庭だ。
援助の種類は、学用品費、入学準備費、宿泊を伴う校外活動費、修学旅行費、クラブ活動費などがあり、いずれも入学後に申請し、審査認定の後、7月下旬以降に支給されている。
しかし、このうち入学準備費(小学校4万600円、中学校4万7400円)は、入学のための経費負担が経済的に困窮状態にある家庭にとっては大きな負担となることから、入学前の支給へと時期を前倒しすることを求める声が上がっていた。
横浜市は、入学準備費の柔軟な運用を求める文科省の通知、全国的な状況、市民の声などを総合的に勘案し、経済的に困っている家庭に対して入学前支給をするよう、今年に入ってから検討を始めていた。
課題も山積
就学援助制度自体は、学齢児童が対象で、前倒し支給には課題も多い。中学校入学時の場合は、小学校6年時の就学援助認定をそのまま適用する制度に改正することで可能になる。
一方、小学校入学時の場合、援助認定には保護者らの所得状況を入学前に把握しなければならない。必要な個人情報の確認方法、制度と申請時期の周知と方法変更、関連するシステムの改修や条例の改正など課題山積だ。加えて、例えば年度替わり前後の転出入者への対応などあらゆるケースを想定した対応も必要だ。
9月と10月の市議会で岡田教育長は「まず中学校入学準備費については今年度の支給ができるようにしたい」と答弁。また、小学校の入学準備費について「18年度は現行より少しでも早い時期に支給できるよう取り組み、19年度については入学前に支給できるよう制度を改正し、制度の周知を徹底したい」と述べ、具体的な検討に入っていることを示した。市担当課は「必要な援助を適切な時期にということだが、様ざまな課題が残っている」と説明。泉区民児協の元会長の男性は「なかなか声を上げにくい問題でもあり、制度の周知徹底が大切になってくるのでは」と話している。
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