鍛冶ケ谷市民の森 4月から一部開園 下旬に全面公開予定
「鍛冶ケ谷市民の森」が、4月1日から一部開園している。2009年12月に「市民の森」として指定されて以来、整備が進められてきた同所。栄区内では飯島、上郷、瀬上、荒井沢に続く5カ所目となる。3月29日には開園式典が行われ、参加者による園内の見学も実施された。今後はさらに整備を進めて、4月下旬には全面公開の予定だ。
市民の森制度は横浜市環境創造局が主導して、1971年度から実施している緑地の保存制度。緑地を保全すると共に、市民の憩いの場として利用される森を整備している。現在、市内では40カ所(約498ha)が指定されており、栄区では5カ所目の開園となった。
「鍛冶ケ谷市民の森」があるのは、鎌倉街道を公田町から上大岡方面に向かい、鍛冶ケ谷バス停付近の左側に広がっている地域。総面積は約2・9haあり、4月1日からその東側約6割が開園している。
開園に先立ち、3月29日には同所北広場で開園式典を実施。関係者や地元住民ら約60人が参加して、開園を祝った。
尾仲富士夫区長は「総力を挙げて市民の森にした魂のこもった市民の森だと思う。区の代表となるような市民の森にしていければ」と述べた。
今後は、先日市から承認を受けた「鍛冶ケ谷市民の森愛護会」が同所の管理を行っていく。同会の本多輝男会長は「もともとはマンションの予定地だった。良い森にしていきたいので、今後ともご協力をお願いします」と式典参加者に呼び掛けた。
マンション建設に地元が反対
同所はもともとマンションの建設予定地だった。しかし、貴重な遺跡が残されていることなどから地元自治会は建設に反対。団体を発足し、2008年には建設反対や緑地の保全を求める陳情を市に提出していた。
市は土地所有者に対して樹林地保全を働きかけて、翌年12月に同所を市民の森に指定。その後、特別緑地保全地区への指定、買い取りを進めた。地元と話し合い、斜面や沿路、横穴墓、柵などの整備を進めて今回の開園に至った。
横穴墓が多数現存
同所の特徴のひとつが、横穴墓と呼ばれる丘陵の山腹や崖面を掘削して構築される墓。古墳時代後期の墓制のひとつで、区内を流れるいたち川流域には宮ノ前横穴墓群が現存している。同所には24基の横穴墓が残存。同所はこれらの横穴墓を保存した上で緑地が整備されており、現存する横穴墓を見ることができる。
現段階では北広場などの東側は整備が完了しているが、大雪の影響で西側の工事が遅れている。そのため、一部開園という形になったが、市の担当者によると今後も崖などの整備を進めて、4月下旬には全面公開の予定だという。
本多会長は「ここには富士山の見える景色があり、小鳥も多く、秋には紅葉もある。区民の皆さんに楽しんでもらえれば」と話している。
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