ロンドンパラリンピック射撃 日本代表に選出された 田口 亜希さん 区内在住 41歳
「素直さ」でメダル狙い撃つ
○…直径わずか0・5ミリ。彼女が狙うのは、その小さな点だ。ロンドンパラリンピック射撃で、3大会連続で日本代表になった。「実力はまだまだ。でも、行くからにはメダルは獲りたい」。過去2回の入賞を経て、「3度目の正直」でメダルという標的を狙い撃つ。
○…大阪府出身。大学卒業後、旅客船「飛鳥」の乗員として世界中を航海していた。だが、休暇中のある日、脊髄の血管の病気を突如発症。20代半ばにして、車いすの生活になった。これからどうすればいいのか―。病室で途方に暮れていたとき、同室の患者とこんな会話をした。「障がい者でもできるスポーツってあるんかな」。誰かが言った。「射撃があるよ」。いつかお客さまと射撃の話をしたことがあったな。面白そうやん。直感的にそう思った。そのときの病室の仲間に誘われ、復職した神戸で初めてライフルを握った。それが転機になった。
○…「言われるがまま」突き進んできたという競技人生。ビームライフルの全国大会で優勝を飾ると、「エアライフルやらんか」「はい」。わずか数年でトップレベルの得点をたたき出し、「パラ五輪出れるで」「じゃあ、やってみます」。コーチの指摘を受け入れてすぐに反映させる。天性のセンスはもちろん、その素直さを成長につなげてきた。「周囲を信頼しているからこそ、それができる。母に『我流はあかん』てよく言われていましたし」と笑う。
○…60発で競う射撃は、すべて満点を叩き出す選手も少なくない。ミスは許されず、過酷なまでのプレッシャーが襲う。「試合に出るたび、もう辞めようと思うんです。でも、終わったときの達成感がすごく大きい」。それを原動力にして重ねた競技歴は、はや15年になる。昨年から横浜に職場が変わり、区内へ移り住んだ。「パラ五輪を終えたら、大好きな旅行に行きたい」。無邪気に微笑む瞳の先には、決戦の地・ロンドンが映っているようだった。
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