金沢区内の戦争遺跡の保存や調査を目的として活動する「横浜金沢の戦跡を調査する会」は、これまでの調査を記した小冊子「横浜金沢の戦跡」(A4判全56ページ)をこのほど、完成させた。
戦時中、金沢は軍用機などを研究・開発する海軍航空技術廠支廠(ぎじゅつしょうししょう)をはじめ、横浜海軍航空隊、石川島航空工業、日本飛行機、大日本兵器といった軍事施設・軍需工場が多い地であった。そのため、戦争にまつわる遺構や碑が、現在に至るまで複数存在している。
同会は「今、形にしておかないと、こうした事実が完全に忘れ去られてしまう」という思いから、冊子の製作に着手した。調査は資料や個人の話を手掛かりに、現地に足を運んだ。メンバーは「立ち入り禁止区域でも、許可を取って入りました。時には山中で戦跡をみつけたことも」と調査の苦労を話す。
冊子は、軍事関係施設はもとより軍需工場、防空施設、工員宿舎、学徒動員や学童疎開などにいたるまで、戦時下の金沢の様子を網羅。メンバー5人で調査し、約5年をかけて作り上げた。川島一美会長(86)は「記録し残すことで、平和につなげていきたい」と話した。
県立金沢文庫の主任学芸員・永井晋さん(54)は「戦争体験のある最後の世代が書いたので、ここにしか載っていない話がある。地元でなければすくいあげられないデータ」と評価する。まさに地域で語り継ぐものだと話している。
同冊子は一部600円(実費)で配布。問い合わせは【電話】045・781・3071(川島さん)へ。
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