神奈川県は2月から、区内南部を流れる侍従(じじゅう)川の大道東橋から山王橋までの堆積土の除去工事を実施する。今後は河川や周辺の環境を調査した上で、上流部(大道橋まで)の治水のための河川整備計画を策定する予定。地元からは多くの植物や生物が生息する川と周辺環境への影響を懸念する声もある。
神奈川県は治水のため、侍従川河口部で河床に堆積した土砂を取り除く工事を2007年から進めてきた。
2月からの工事は、川原に堆積した土を除去する。長年、侍従川で活動してきた「ふるさと侍従川に親しむ会」(相川澄夫会長)は昨年10月、この工事について「生物に影響の少ない時期の実施」や「葦(あし)原を残す」などを盛り込んだ要望書を県に提出。県横浜川崎治水事務所はこれを受け、「植物や生物の生息状況を十分に考慮し、水面から10cmの高さの土は残す」とした。
将来的には川底掘削も
だが、同事務所は洪水の不安を除くため、将来的に侍従川の排水能力を高める対応も計画中だという。県の定める基準では、毎秒50㎥の水量が必要とされる。実施時期は未定だが、川底の掘削などで川に流れる水量を増やすことを検討しているという。今年度中に現況の河川の排水能力を調査・検証し、それを元に整備計画を策定する予定だ。「計画の策定は地元との話し合いを重ね、合意をした上で進めるため、実際に実施するまで、かなりの時間がかかるのでは」と同事務所は話す。
環境に配慮した計画を
「ふるさと侍従川に親しむ会」は、計画が策定される前に会の総意をまとめようと1月19日、臨時総会を開いた。会員ら約20人が参加し、活発な意見交換が行われた。
仮に川底を東京湾の平均海面よりも低くなるほど掘削すれば、海水が川に流れ込むようになり、付近に生息する昆虫や淡水魚、植物に多大な影響を与えることが予想される。侍従川で20年以上にわたり定期的な清掃活動やホタル観察会、葦舟づくり・乗船会などの活動をしてきた同会にとっては、避けたい事態だ。
相川会長は「行政と対立するつもりはない。自然環境の保護を第一に、治水にも対応できるような妥協点を探っていきたい」とコメント。過去の降水量と河川水位データや代案を提示するなどし、環境に配慮した計画を求めていく方針だ。
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