プレス金型の設計、製作を手掛けるニットー(本社・金沢区鳥浜町/藤澤秀行代表取締役)は、医療向け装着型下肢支持装置「archelis(アルケリス)」を自治医科大学らと共同開発し、11月5日に中区で製品発表会を開催した。この製品は、装着したまま「歩く」と「座る」を、場所を選ばず繰り返すことができる「歩ける椅子」。長時間立ち姿勢で手術を行う医師の負担軽減が期待される。
医療業界では、医療技術の進化により、患者の身体的負担が軽減されている一方で、医師や医療スタッフは長時間、立ち姿勢で手術を行っており、腰や足への負担が増加している課題があった。さらに、手術室は立ち姿勢を前提に設計されていて、医師は手術中、立ち位置を変えるケースが多く、椅子を置くスペースが確保できない状況だ。
こうした課題を解消しようと、ニットーらは2014年から開発に着手。試作は14号機にのぼり、約3年かけ開発した。
アルケリスは、装着したまま「歩く」と「座る」を繰り返せる。電源を使用しないため、他の医療機器への電波干渉がなく充電の必要もない。足、すね、ももの3点ベルトによる簡単装着が可能な点が大きな特徴だ。重さは片足約3kgで許容重量は80kg。調整により160cmから185cmの人に対応している。
「疲労感が違う」
5日の製品発表会では、製品を使用した医師の声を紹介。横浜市立大学大学院の遠藤格教授は「立ったままでの12時間の手術と座っての12時間は疲労感が違う」とのコメントを寄せた。
また、藤澤社長は、開発の苦労に装着感の追及をあげ「人それぞれ感覚が違うので、皆さんに納得してもらえる製品にすることが難しかった」と振り返る。「医療業界の更なる進化をサポートしていきたい」と今後の抱負を話した。
アルケリスは、医療施設限定で、レンタルのみの運用をはかる。まずは年間100台を目標にするとしている。
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