開館30周年を迎える「はまぎんこども宇宙科学館」の館長を務める 的川 泰宣さん 大和市在住 72歳
科学と人の橋渡しを
○…自身が館長を務めるはまぎん こども宇宙科学館が5月5日で開館30周年を迎える。当時は理事として開館に携わった身。「30年経って貫禄のある科学館になった」と振り返る。館長に就任したのは2012年の3月。基本的な運営方針を定めていくのがその仕事だ。「宇宙は大人も子どもも分かる共通の話題。宇宙を軸に展開される科学に触れてもらい、家庭の話題になれば」。館の運営を通し、人と科学の橋渡しに尽力する。
○…東京大学で宇宙工学を専攻して以来、東京大学宇宙航空研究所、宇宙科学研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に勤務。ミューロケットの改良や科学衛星の誕生などに携わり、宇宙研究の現場で活躍する。自身も関わった小惑星探査機はやぶさについて、「次々と生じたハプニングも今となっては大変面白いミッション。よく乗り越えた」と優しく微笑む。
○…出身は広島県呉市。子どもの頃は野球少年で「将来はカープに入ってチームを強くするんだ」と意気込んだ。瀬戸内海に面した呉の町、夜はボートに乗って夜釣りへ。釣れるまでは満天の空を見上げ星と親しむ。小学校高学年の頃、それぞれの星と地球との距離が異なると知って「夜釣りの際は、ボートに乗って奥行きのある星の世界を分け入って進むような感覚になった」と遠い目で、宇宙研究の原点を振り返る。
○…読書が好きで、あらゆるジャンルの本を年間100冊は読む。好きな作家にはトルストイを挙げ、「『戦争と平和』はどうしても原文で読みたくて、学生時代ロシア語を一生懸命勉強した」と胸を張るも、「いざ原本を揃えたら、背表紙を見て満足しちゃって」と照れ笑い。定年を機に「これまでの経験を活かして人と科学をつなぐ架け橋になれれば」と教育の現場へ。「科学にかける大人の情熱を紹介し、子どものセンスを育む科学館にしたい」。未来を担う子どもたちを育てる現場で、新たなミッションは続く。
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