平成20年からの下水道再整備事業で橋の親柱や欄干が全て撤去された中区の旧千代崎川。その歴史を後世に伝えようと地域住民が行政に長年掛け合った結果、橋の一部を保存するモニュメントがこのほど完成した。隣には歴史を説明する碑も建てられ、7月9日に地元の関係者などが出席して除幕式が行われた。
「昔この川は地域の子どもがトンボを追いかけ、大雨のあとには上流から流れてくる鯉や鮒をみんなで夢中ですくうような風情のある川でした」。除幕式で懐かしそうに当時を振り返ったのは上野町1・2丁目東部自治会の厚浦千尋会長。
千代崎川は根岸・山手の湧水を源流に麦田や大和、千代崎などを流れ、小港から東京湾に繋がる河川。
関東大震災後には、復興事業で川の流れを真っすぐにし、護岸工事と共に24の橋が架けられた。
その後、公共下水道として覆蓋(ふくがい)されて旧千代崎川となり、平成20年からの再整備で暗渠(あんきょ)が埋め立てられるとともに橋の親柱や欄干が撤去されることになった。
地域住民に愛された千代崎川の存在が無くなってしまうことを憂いた地元は、「川の記憶を後世に伝えたい」と橋の一部をモニュメントとして保全しようと、平成20年度に横浜市の「まち普請事業」に応募。惜しくも最終審査で落選したが、その後も川の歴史的価値を地道に行政に訴え続けた結果、今回の整備に至った。
モニュメントは上野町2丁目の上野橋の跡地に上野橋と西ノ谷橋の親柱や欄干が碑と共に保全されている。
除幕式は地元自治会や今回の整備に携わった関係者のほか、まち普請への応募にも携わった地元の立野小学校の児童など50人以上が参加して行われた。
同地区の上野町1・2丁目南部町内会の青木重行会長は「本当に多くの方のご尽力で素晴らしいモニュメントが完成した。若い方や子どもたちがこれを見て、昔ここに地域に愛された千代崎川という川があったことを学んでもらえたら」と話した。
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