横浜市は、グローバル人材の育成を目的に今年度から一部の市立学校で英語検定などの外部指標の活用を始めた。2018年度までに市立全校実施を目指す。既に10月から11月にかけ中学校30校で「英検」が、小学校22校で「児童英検」が実施された。市教育委員会では「道案内できる程度の会話力を養う指標になれば」と期待する。
高校ではTOEFL
市教委は、2020年の東京五輪開催を見据え、課題となっている英語のコミュニケーション能力を養成するため、一部市立学校で今年度から英検などの「外部指標」導入を決めた。
小学校では6年生を対象に「児童英検」、中学校は3年生で「英検」、高校2年生で世界共通の英語能力試験「TOEFL」を導入。今年度は、小学校で341校中22校、中学校は147校中30校、高校は全日制の8校全校が対象となった。
実施校選定は、3年前に導入した「AET」(英語指導助手)が初年度から常駐している学校を基準にしたという。小中学校においてAETは、週1回程度、ネーティブの発音を生かし授業を補助している。
10月10日には、30の中学校で一斉に英検の一次試験(筆記)を実施。小学校の児童英検および高校で導入するTOEFLは、学校ごとに実施日を設定でき、児童英検は11月中に行われた。TOEFLは年度末を予定する。
成績とは無関係
英検やTOEFLの結果は、実施校が把握し今後の指導に生かすものの、児童生徒の成績評価とは無関係で「あくまでも日頃の授業の成果を確認する指標の一つ」(市教委)だという。
10月に英検を実施した中学校では、公費受検に保護者から感謝の声が聞かれたという。また、受検経験のある生徒からは前向きな姿勢が見られた一方、成績に関係ないとして面倒がる生徒もいたという。
公費負担 不公平感も
公費負担にも関わらず一部学校のみの実施に批判もある。市教委では「準備のできている学校から」として理解を求めており、中学校で16年度、小学校で18年度の全校実施を掲げる。
英語教育学が専門の神奈川大学の高橋一幸教授(57)は、今回の外部指標導入について「学習の到達度を知るためには良いこと」と評価した上で「グローバル人材を育成するためにも、他文化・他者への理解を深めるという英語教育本来の目的を改めて認識する必要がある」と話している。
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