「平成27年度横浜市学力・学習状況調査」の結果がこのほどまとまり、学校図書館利用に対し肯定的な児童生徒が3年連続で増加していることがわかった。横浜市教育委員会は、25年度から始まった学校司書配置により学校図書館の充実が進んだ効果とみている。
市は毎年、市立小・中学校の児童生徒約26万人に学力調査と生活・学習意識調査を実施している。今回公表した結果では、「学校図書館に行くことが好きですか」との問いに「好き」または「どちらかといえば好き」との回答が、いずれの学年も調査開始から3年連続で増加。市担当者は「学校司書配置によって学校図書館の充実が進んだのでは」と分析する。
貸出冊数1・7倍
市は学校図書館の充実や子どもの読書意欲向上などを目的に、25年度から市内の小・中・義務教育・特別支援学校に学校司書を導入。今年度は6億2494万円の予算を計上し、全498校へ499人の配置が完了した。
業務は司書教諭の補佐や学校図書館の管理・整備などで、市担当者は「子どもたちの図書館利用が増えたのはもとより、教諭の代わりに学校司書が授業の補足資料を準備することで教諭の業務負担が減り、子どもとの時間が増えた」と話す。
これを反映して、第1期配置校対象の調査では、25年度に1校あたり4584冊だった貸出冊数が27年度には約1・7倍(8006冊)に増加。ある男子児童(小4)は「学校司書の先生が本を見つけやすいよう表示を作ってくれたので行きやすくなった。前より授業で本を使う機会が増えた」と、学校図書館の変化を喜んでいた。
初年度に導入した緑園東小学校=泉区=の副島江理子校長は、「授業やクラブ活動の中で調べたいことが出てきたときに、児童自ら学校図書館を活用することで課題解決しようとする意識の変化が見えてきた」と効果を語る。
蔵書の改善必要
利用機会が増えた一方で一部の学校司書からは「調べ学習に使える本が少ない」「管理が行き届いていなかったので置いてある本が古い」などの声が上がっており、学校図書館の活性化を訴える市民団体は「学校によって図書館の状況が異なる。現場の声を聞いて、よりきめ細やかなサポートをしてほしい」と指摘。市担当者は「蔵書は学校ごとの予算で工夫しながら、地域の公共図書館で教諭向けに行っている貸出制度を活用してもらえれば」という回答にとどまった。
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