横浜市では、市内企業を対象とした「健康経営」の普及に力を入れている。3月には第1回の「横浜健康経営認証」を実施し、28事業所を認証。啓発セミナーを行うほか、本日9月7日には、健康経営支援拠点のモデル拠点「新横浜ウエルネスセンター」がオープンする。
「健康経営」とは、従業員等の健康保持・増進の取組みが、将来的に企業の収益性を高める投資であるととらえ、従業員等の健康づくりを戦略的に実践するもの。経済産業省が普及を図り、市でも昨年11月に認証制度を創設。今年度の認証事業所募集も始まっている。
背景には企業をとりまく社会状況の変化がある。今後、少子高齢化により労働力人口が減少。人材不足に加え、労働者の平均年齢は上昇する。健康リスク上昇による、生産性の低下も予測されている。
収益性の向上等に期待
対策として市が着目しているのが「健康経営」。その効果として、生産性向上や医療コスト削減のほか、社員のモチベーション向上、企業のイメージアップ等が期待される。
市経済局が行った市景況・経営動向調査の2013年と16年の比較では、「健康経営」の取組み状況について大企業で15・4%が29・2%に上昇したのに対し、中小企業では7・6%が7・5%とほぼ横ばい。中小企業の取組み意向は上昇したものの、実現にはハードルが高いことがわかる。
こうしたことから市では主に中小企業が健康経営に取組む場合を想定し認証制度等でサポート、企業の収益性の向上等につなげる考えだ。この分野を研究する、自治医科大学客員教授・内閣府経済財政諮問会議専門委員の古井祐司氏は「超少子高齢化社会では、企業経営には健康投資は不可欠になるだろう。今回の横浜市のような官のサービス活用で最初の一歩は踏み出しやすい」と指摘する。
同認証制度で最高位を受けたアクロクエストテクノロジー(株)=港北区=で社内全面禁煙などに取組んできた新免玲子副社長は「認証制度を契機に企業の健康意識が上がれば、組織の質も上がる素晴らしい取組み」と話す。
7日にはモデル拠点「新横浜ウエルネスセンター」をバイオコミュニケーションズ(株)=港北区=が開設する。ここでは、健康経営・管理に対する知識向上のためのセミナー等を定期的に実施。健康機器での測定なども健診後の健康管理に利用できるという。
市経済局の森田課長は「人材確保のためにも、この施設や認証制度を活用してもらえれば」と話している。
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