NPO法人による60歳以上の女性を対象にした防災講座が10月24日、南図書館で行われ、区内に住む24人が参加した。専門家が携帯電話を使った災害時の情報収集方法などを解説したが、操作に戸惑う参加者も多く、災害に備えた準備の大切さを実感していた。
NPOが企画
講座は市内を中心に子育て支援活動を行うNPO法人「シャーロックホームズ」(東恵子理事長)が企画。東日本大震災を受け、災害時に必要な情報収集能力を学ぶことを目的にしている。
消防庁の防災図上訓練指導員として活動する鈴木光さんが講師を務めた。前半は24人の参加者が4人1組となり、東日本大震災の体験談や防災に関する疑問、危険だと感じている場所などについて話し合った。
後半は災害用伝言ダイヤル「171」の使い方を、参加者が携帯電話を実際に操作しながら学んだ。このサービスは、災害発生によって被災地への通信量が増加し、つながりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板。
鈴木さんが「171」のメッセージの聞き方、録音の仕方を実際に操作しながら説明。しかし、参加者の多くは一人ではうまく操作できず、スタッフの手伝いを受けていた。「この方法を自分だけが知っていても何も役に立たない。帰ったら家族にも教えてあげて」と鈴木さんは情報共有の重要性を訴えた。
参加した女性たちからは「171の存在は知っていたけれど、使うのは初めてだった。最初は操作が難しくて戸惑ってしまったが、マスターできたので、早速、家に帰ったらお嫁さんに教えたい」や「70年間生きてきて、こういうサービスを使わずに済んだのは幸せなこと。ただ、災害はいつ起こるか分からないので、新しいことを一つ覚えられて良かった」などの感想が寄せられた。
「事前準備で冷静に」
今回の講座参加者の半数以上が「171の存在は知っていても使ったことがない」と答え、サービスの普及が進んでいない実態が浮き彫りになった。鈴木さんは「家族の安否情報などを確認できると、その後に冷静な行動がとれる」と話し、「いざという時に初めて操作しようと思っても、いつも以上に焦ってしまい、混乱してしまうもの」と情報収集においても、日ごろの備えが大切だと強調した。
各世代の意識向上へ
同法人は「自分の住む自治会でも講座をやりたいと相談に来る人がいる。そのような輪を広げるためにも、継続して防災講座を行っていきたい」と話す。12月には、中学生に東日本大震災で活躍した「情報ボランティア」の紹介と、ホームページの作成法を教える予定で幅広い世代の防災意識を高めていく方針だ。
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