横浜市自転車総合計画の策定から1年が経過した。市は来年度までを計画の「前期」と位置付け、自転車利用のルールや通行空間の整備に加え、駅周辺の駐輪対策の検討を進めている。今年度は早期対応が必要な駅をモデル地区に設定し、通行環境の整備と合わせて対策を進める。
放置自転車減少
計画では2016年度から25年度の10年間を期間とし、自転車の適切な利用促進の施策を進めている。
市内の駅周辺の放置自転車数はピーク時の1984年には約7万3千台だったが、翌年の放置防止条例制定を契機に改善。市は放置自転車の移動に加え、14年までに10万台規模の駐輪場を整備。民営でも5万台ほどが確保され、02年以降、放置自転車は毎年減少している。昨年の実態調査では1万191台に留まり、今年度末までの目標値である「1万台未満」にも近づいているという。
モデル地区で開始
計画では、駐輪対策の早期対応が必要な7カ所(伊勢佐木長者町+関内、横浜、鶴見、綱島、戸塚、新横浜、上大岡)を優先対応駅に選定した。
今年度はこのうち、3月に策定された「自転車通行環境整備指針」の整備重点エリアである戸塚駅、鶴見駅をモデル地区として先行して取り組む。駐輪目的や各駅の特性を踏まえ、まちづくりの観点やコストも考慮した駅ごとの「駐輪対策方針」策定に着手する予定だ。市では「通行空間の整備と合わせ、一体的に取り組んでいく」としている。
公共空間活用も検討
一部の地域では依然として買い物利用客などの短時間の駐輪が目立つほか、駐輪場の定期利用待機者の大量発生という課題もある。
市はこの対策として、料金制度の改定に加え道路等の公共空間の活用も検討。瀬谷駅ではすでに道路区域を活用した民営駐輪場が設置されているほか、今年度は鶴見駅や伊勢佐木モール周辺でも整備が進む。歩行者の安全や通行空間への影響を考慮し、新たな基準や運用方法の導入についても前期中に検討するという。
また、政令市の多くは、建物の建設時や大規模改修時に駐輪場の整備を義務付ける「附置義務」の条例があるが、横浜市では策定されていないのも課題の一つ。市は「条例の制定や改正も視野に入れ、早めに検討したい」としている。
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