生き物がにぎわう鶴見 多様性を守るには
今日5月22日は、国際生物多様性の日。1992年のこの日、生物多様性の重要性の啓発などを目指し、「生物多様性に関する条約」が採択された。これを受け、国連は2000年に「国際生物多様性の日」を制定。以後、各国では5月22日を中心に生物多様性問題に関する啓発イベントが開かれている。世界中で、生物多様性について考える今日、この鶴見でも身近な生き物たちに目を向けてみたい。
貴重な種類も生息
「鶴見のガラパゴス」―。駒岡と獅子ヶ谷の間に位置する二ツ池を、区内に住む浅海邦夫さんは、そう例える。
二ツ池は、駒岡池と獅子ヶ谷池の総称で、市内でも有数の多様な生き物が生息し、絶滅が危惧されるような貴重な生き物も、多数見つかっている。
浅海さんは、15年ほど前から二ツ池の保全活動や観察会に参加してきた。「この貴重な環境と景観は、後世に伝えていかなければ」と浅海さんは話す。
「実は鶴見は生き物のにぎわいだらけなのです」。鶴見川流域で環境や教育関連活動を行うNPO法人鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)の岸由二代表理事は、二ツ池を始め、生麦の鶴見川河口付近など、様々な生き物が暮らし、市民らによって生物多様性が大切にされている拠点が鶴見にはあるという。
人の生活と直結
生物多様性は、生き物たちの豊かな個性とつながりを意味する。具体的には、3つのレベルでの多様性の意味がこめられている。
魚や鳥、植物など様々な種類の生きものがいること(種の多様性)、生き物たちが暮らす森林や河川、干潟など、様々な自然があること(生態系の多様性)、そして同じ種類の生き物でも、異なる遺伝子を持つことで、形や模様など様々な個性を持っていること(遺伝子の多様性)だ。
地球上に暮らす生き物たちは、それぞれが関わり合い生きている。人間も例外ではなく、生き物の営みは人の暮らしと直結している。例えば、酸素は植物、食料は海や森の動植物から供給される。
岸代表は、「生物多様性は、『多様な生き物と暮らす方が幸せ』という倫理的な価値と、生き物の営みが人間の生活を支えているという実利的な価値があるからこそ重要」と訴える。
暮らしの中でできること
生物多様性を守るために、鶴見では地元企業による取り組みもある。キリンビール横浜工場=生麦=では、12年にビオトープを整備。TRネットと連携し、全国でも希少なホトケドジョウなどを保護している。
個人でできることももちろんある。例えばメダカを飼ってみる。すると野生のトンボがやってくるかもしれない。「珍しい生き物がいるところへ行くだけでなく、自分の暮らしの中で、生き物を励まし、にぎわいを作ることができる。他人事ではなく、自分のこととして、取り組んでいくことが大事」と岸代表は話している。
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