鶴見区が主催し、区内各医療機関や地域防災拠点など、30を超える機関による鶴見区災害医療訓練がこのほど、済生会横浜市東部病院などで開かれた。同内容の想定をもとに、複数の会場が連携して行う大規模な訓練は市内でも珍しく、関係者は「震災後のブームではなく、文化にしたい」と定着に期待を込める。
東部病院が2007年から独自に続けてきた災害医療訓練をもとにしたもの。4年前から鶴見区と連携し、毎年参加機関を増やす中、昨年初めて30機関を超す訓練を実施していた。
実践訓練に850人
今回は、隣接する神奈川区も含め、各病院や行政、地域住民ら約850人が参加。大規模地震後に負傷者が多数発生した状況を想定して進められた。
区役所には区災害対策本部や医療調整班本部が設置され、各機関との通信訓練があったほか、東部病院ではトリアージや重症者受け入れなどを実践。住民により地域防災拠点が開設された下末吉小学校、新鶴見小学校では、区医師会らが災害時に編成する医療救護隊を受け入れた上、近隣病院へ患者搬送も行われた。
今年は新たに、要援護者の特別避難場所に指定されている寺尾地域ケアプラザや、特別養護老人ホーム新鶴見ホーム、鶴見大学も参加。同大では、区歯科医師会の医師らが身元確認訓練を実施するなど、各機関が実際に行う動きや連携事項を確認した。
最悪への意識も必要
区本部との通信といった昨年の課題は解消されたものの、「訓練を重ねることは重要だが、想定が凝り固まるのはよくない」と、シナリオを考案した東部病院の山崎元靖医師は話す。
山崎医師は「重症は東部、中等症以下は地域の病院など、概念は普及させるべき」としながらも、想定より悪い状況も考える必要があるとする。
昨年の熊本地震では、断水などを理由に、10病院で患者計1500人が避難する事態が発生した。「九州地方は全国的にもベッドの空きがあると言われている地域。都市部ではそうはいかない」と山崎医師。交通網が遮断される可能性もあるため、連携しながら、各機関が個別に対応する意識も必要になる。東日本大震災では、建物が使えなくなった病院からの入院患者が、一時的に避難所となっていた近隣の体育館に移ったケースもあり、地域全体で取り組むことも重要だ。
鶴見区は「多くの命を救う作戦。参加者が増えているのは大きな成果。着実に継続していく」と話した。
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