区内北西部を中心に、ウメやモモなどの果実に被害の出る「ウメ輪紋ウィルス」(プラムポックスウィルス=PPV)の感染が広がっていることを受け、農水省や県などは、4月中旬以降、該当地区内で全戸調査に入る。調査地域は、1月に対象樹木が持ち出し禁止となる防除区域に指定された区内43町と港北区の一部となっている。
PPVは、アブラムシを媒介し、ウメやモモに感染する植物ウィルス。人体や動物に影響はない。葉がまだら模様に変色し、成熟前に果実が落下するなどの被害が出る。海外などでは農業生産に大きな影響を及ぼすケースもあり、国内では2009年に東京都青梅市で初めて確認された。県内では同年に発生した小田原市に続き2例目となる。
防除区域に指定
国内での発生確認以降、国からの指示で全国都道府県が毎年調査を実施。今回、昨年6月の調査において、港北区で感染した木1本が見つかっていた。
その後、周辺の住宅地を含む49カ所で133本の感染を確認。県によると、感染理由は不明だという。
今年1月には、自然感染が広範囲に及ぶことなどから、法律に基づき防除区域に指定。区域内では、対象となる植物の苗や植木、切花・枝、葉などの持ち出しが原則禁止となる。対象植物は、ウメやモモ、オウトウ、ユスラウメなどのサクラ属植物。サクラ節植物となるソメイヨシノなどの観賞用のサクラは含まれない。
可能性ある箇所全て
PPVは治癒ができず、感染樹木は県により伐採・抜根される。また、潜伏期間は3年とされ、防除区域では3年間継続で調査が実施される。状況によっては今後、区域が拡大する可能性もあるという。
4月中旬からの調査は、農水省や県職員、県が委託した業者などが担当。県は、「区域内で可能性のある箇所はくまなく調査する」と話す。また、予防については「住宅街などでは、健康に配慮して、むやみに農薬をまけないし、完全に根絶できるかはわからない」とし、個人での散布も「ルールを守って」と呼びかける。
公園など景観変わる
敷地内のウメやモモ14本が感染していた獅子ヶ谷3丁目の横溝屋敷では、6月下旬ごろ伐採される予定となっている。
横溝屋敷は「寿命も近かったが、樹齢180年のウメもダメだった。仕方ないことだが、景観が大きく変わってしまう」と危惧する。植え替える樹木等、今後については所有する横浜市と検討していくとした。
ウィルスや調査についての問い合わせは、農林水産省横浜植物防疫所国内検疫担当【電話】045・285・7135。
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