神奈川工業高校水球部が、全国高校総体(インターハイ)の切符を手にした。昨年7月の創部から2年目での快挙。長野県で行われる8月17日の初戦に向けて夏休み返上で練習を重ねる主将の佐々木優京さん(2年)は、「今までの頑張りが無駄でなかったと証明したい」と初の大舞台へ意気込む。
水球は水深2メートル以上のプールに作られたコート内でボールをゴールに投げ入れ、得点を競う球技。1チーム7人で戦い、試合中はプールの底に足を付けずにプレーする。五輪種目にも選ばれており、ボールを持つ相手に水面下で体をぶつけるなど、「水中の格闘技」とも呼ばれる激しいスポーツだ。
水球部がある県内の高校は、昨春の時点で県立海洋科学、慶応義塾、神奈川大附属の3校。中学での経験者が高校で競技を続けるための受け皿は決して多くない。
他校で水球部を立ち上げた経験を持つ上田優教諭は、屋内温水プールが完備された神奈川工業でも水球部の創設を模索。ジュニアオリンピックカップ(JOC)の中学生区分で優勝実績のあるカワサキ・スイミングクラブ=川崎市=に協力を依頼し、同クラブで指導をしていた竹田純さんの監督就任が決まった。現在主将を務める佐々木さんは、中学生時代から同クラブで竹田監督に師事していた縁もあり同校に入学。未経験者の選手5人を集め、新型コロナウイルスによる休校明けの昨年7月から始動した。
新戦力加わり躍進
創部当初は立ち泳ぎに欠かせない巻き足やボールの投げ方など、地道な基礎トレーニングを続けた。コロナ禍で大会が無くなる中、昨年11月の代替試合では慶応義塾、神奈川大附属に完敗。竹田監督は「それでも前向きに取り組んでくれた」と選手を信じ、県大会で2位以上の成績が必要な関東出場を目標に誰一人欠けることなく新年度を迎えた。
今春に入部した8人のうち5人は同クラブ出身の経験者で、竹田監督の下でJOCにも出場した経験を持つ実力派。創部2年目ながら一気に選手層に厚みが増した6月の県大会では、神奈川大附属を9対1、県立海洋科学を11対1で圧倒した。数年にわたって優勝している慶応義塾戦では、4対4の同点で迎えた後半を4対0で突き放し、県大会1位で目標だった関東の切符をつかんだ。
7月に行われた関東大会では、初戦で埼玉栄、2回戦で宇都宮東を下して明大中野との準決勝へ。守りを固めた戦術で臨むも前半は2対6と劣勢に立たされ、後半は堅守速攻を意識した試合運びで善戦したが11対16で決勝進出を逃した。3位決定戦では前橋商業に敗れたが、堂々のベスト4進出で全国への出場権を手にした。
関東でも強み見えた
竹田監督は「1、2年生が主体の若いチームなので、体の大きさやチームとしての成熟度はまだまだ」と課題も多いというが、「チームワークや数的不利で通用する場面など、関東でも見えた強みがある。ダークホースとしてベスト4を目指したい」と教え子の成長を実感している。
長野県の長野東高校で行われる全国大会の初陣は8月17日。関東2位の秀明英光=埼玉県=を相手に迎える。
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