お産環境考え、勉強会 区内のお母さんグループ
出産の体験談を通じて地元のお産環境を考えようと、区内のお母さんグループが先月28日、区役所で勉強会を開いた。参加者らは笑いや涙を交えて苦労や喜びを語り、お産環境の改善に取り組もうと意見を出し合った。
勉強会を開いたのは、多摩区内で唯一の助産所、稲田助産院で出産した母親が集まって結成している「クローバーの会」。医療法改正で同助産院の嘱託医探しが難航して川崎市のお産環境を調べたところ、「お産場所が少ない」「妊婦の搬送時間が全国で一番長い」といった問題点が分かり、「川崎市を『安心して産める街』に」と訴えて勉強会を開いている。
この日、集まったのは同会のメンバー7人に加え、30代から40代を中心とした地元で子育てをするお母さん24人。同助産院の藤井よし江院長が講演で出産や子育てに向き合うための母親の心得について説き、お母さんたちが出産体験を話し合った。
お母さんからは「里帰り出産も出来ず、2カ月間も母乳を吸ってくれなかった。自分で自分を追い込みノイローゼ状態になることがあった」「24週の早産で産まれ、毎日病院まで母乳を届けて大変だった」「陣痛のときに夫に頭を擦られ、あまりの痛さに思わず手をはね退けた」「まわりの人に助けられて今は生きている。今度は私がまわりの人を助けたい」などと様々な声が飛び交った。笑い声が響いたり、涙で声を震わせたりする場面もあった。
同会は川崎市議会に請願書を提出し、川崎市に対して助産院と医療機関が連携を図る周産期医療ネットワークづくりなどを訴えていた経緯がある。今回の勉強会では母親たちの思いや要望を行政や産科医療機関に届けようと、アンケートも実施。お産場所を選ぶ時に重視する項目やその満足度、不安の相談先などを調べ、対象者1000人をめどに結果をまとめるという。
同会のメンバーのひとり、池田多英子さんは「待機児童の問題は認識されているが、お産に関することはまだまだ認識されていない。今回の勉強会を通じて多くのお母さんが共通の問題や不安を感じていることがわかった。アンケートをまとめ、お母さんたちの本当の声を行政に訴えていきたい」と話していた。
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11月8日