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55年の星空解説、引退へ 科学館の”プラ弁”河原さん

公開:2011年9月30日

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惜しまれつつも定期解説から身を引く河原郁夫さん
惜しまれつつも定期解説から身を引く河原郁夫さん

 星空の語り部”プラネタリウム弁士”として半世紀以上に渡って活躍してきた河原郁夫さん(80歳)が、川崎市青少年科学館の改修を機に定期解説から身を引くことになった。25日、同館にファンや教え子ら40人が詰めかけ、最終投影があった。

 「9月25日、きょうの太陽はどのように隠れるか調べてみましょう」。この日も河原さんがいつも通りにマイクの前に座って機械を操作し始めると、最後の天文ショーが始まった。

 最終投影に取り入れたのは「オリオン座」。小学生の時、初めてみたプラネタリウムに感動し、夢中で覚えた星座という。お気に入りという「ツィゴイネルワイゼン」の曲で星空のムードを盛り上げた。

 投影後には感謝の会が開かれ、市教育委員会から感謝状が送られ、ファンや教え子から花束が贈呈された。

57年にデビュー

 河原さんは小学生の時、有楽町にあった東日天文館(当時)で観たプラネタリウムに感動し、天文の世界に興味を持ったという。東京理科大学に進み、本格的に天文学を学んだ。卒業後、渋谷の五島プラネタリウムの設立に携わり、1957年4月には同所の解説員としてデビューした。

 その後は県立青少年センタープラネタリウム(現在は廃館)の館長を務め、97年から川崎市の臨時職員として青少年科学館で週4回、星空を語り続けてきた。

 全国のプラネタリウムで録音による解説が増える中、河原さんは自らの職業を「プラネタリウム弁士」と命名し、生声の解説にこだわってきた。子どもが多いときには丁寧でわかりやすい解説、カップルが多いときにはムードにも配慮する。そんな名口調が人気となり、河原さんの解説を聴いてプラネタリウムや天文の世界に進んだ人も少なくないという。

惜しむ声に特別投影

 最終投影を終え、河原さんは「星仲間に助けてもらい、ここまでやってきた。毎日楽しくて大変とも思わずやってきた」と振り返った。「104歳になる2035年の皆既日食を見るのがこれからの目標。あと1000年は生きて様々な天文現象を観たい」と河原節を披露した。

 引退を惜しむ声が多く、同館では来春のリニューアルオープン後のプラネタリウムでも月に1度のペースで河原さんの特別投影を検討しているという。
 

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