測量データいち早く公開 区内企業が震災翌日から被災地で調査
区内に本社を構える航空測量会社が東日本大震災翌日から独自の測量を開始している。上空や地上から撮られたデータは、被害状況の把握に活用されたほか、今後の防災対策にも役立てられる見通しだ。
状況把握や救助の指標に
アジア航測株式会社は航空機などによる空間情報の収集と、収集されたデータを活用して行う空間情報コンサルタントを行う航空測量会社。地図の作成や、災害時の被害予測など、社会基盤の整備に関わる事業を広く行ってきた。
東日本大震災発生の翌日早朝に測量の依頼を受け、数時間後には航空測量を実施。撮影された写真とデータを照合することにより、被害範囲の推定や市区町村別の被害面積の割り出し、津波到達区域と区域内の建物数の把握などを行った。 データは自治体や行政に送られ、被害状況の把握や救助活動の指標に役立てられた。
同社はこれまで災害時の緊急撮影データを無償でネット上で公開してきた。今回も震災直後に緊急撮影したデータをホームページで無償公開した。直後から、国内外からの問い合わせが殺到した。大半が被災者と連絡のとれない親族や知人からのもので、「写真のおかげで親族の住む地域の被害状況が確認できた」という言葉や、「友人の住む地域の写真も公開できないか」といった要望だったという。
これらの功績を受け、先月には同社の航空画像提供・情報共有サービス「ライブビュー」が新しい領域や事業分野へチャレンジしたサービスに贈られる「ニュービジネスモデル賞」を受賞している。
3D測量で未知の古墳を発見
先月28日には同社と奈良県立橿原(かしはら)考古学研究所が、ヘリコプターを用い今年3月に行った3次元航空レーザー計測の最中に新沢千塚(にいざわせんづか)古墳群(奈良県橿原)で前方後円墳を発見したと発表した。
この古墳群は600基あまりの古墳からなり、奈良盆地の南部に位置する。発掘調査を通して小規模古墳の群構造や築造過程、大陸からもたらされたとみられる副葬品が見つかり、1976年にほぼ全域が国史跡に指定された。
同社と奈良県立橿原考古学研究所は3月10日に3次元測量を実施。高度500メートル地点を時速70キロメートルで飛行しながらレーザーを発射し、100万平方メートル内の障害物を取り除いた地表や墳丘の形状を計測。竹林に隠れた全長約42メートルの前方後円墳を新たに発見した。
奈良県立橿原考古学研究所は「今回得られた情報を加工することにより古墳構造に関わる新たな局面を提供できる」とコメントしている。古墳群の詳細についてはhttp://www.ajiko.co.jp/news/2011/0628_01.htmlで確認できる。
|
|
|
|
|
|