映画「ミツバチの羽音と地球の回転」の監督として全国で上映活動を行う 鎌仲 ひとみさん 町田市在住 54歳
「まず知ること」それが大事
〇…98年、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾による白血病に苦しむイラクの子どもたちと出会ったことがきっかけで「被ばく者」の声を聞く旅が始まった。03年に完成させた映画「ヒバクシャ 世界の終わりに」を皮切りに、原子力産業の最前線で生きる六ヶ所村の人々をとらえた『六ヶ所村ラプソディー』や、原子力発電所の建設計画に立ち向かう山口県祝島の人々を追った『ミツバチの羽音と地球の回転』を次々に発表した。「世の中ではこんなことが起こっている。その事実をそのままに伝えたいから、私は映画を撮る」
〇…1958年、富山県氷見市生まれ。大自然の中で幼少期を過ごした。蝉の抜け殻や芋虫、蛇を追いかけているうちに日が暮れた。小学校では授業を抜け出し、勝手に遊びに出ることもしばしば。「学校に帰って、山で見たこと、発見したことを先生に報告すると、よかったねと、決して叱らなかった。ああいう環境で思う存分自然と触れ合った経験が、今の私の根底にあるのかもしれない」
〇…早稲田大学では探検部に所属。インドネシア諸島をバイクで旅する計画が頓挫して、仲間の自主映画の製作を手伝ったことから、映像の世界に足を踏み入れることに。大学卒業後はカナダの映画製作所などで働き、帰国後はフリーの映像作家としてNHKなどの番組を監督していた。「映像は解釈が自由。より自由度を求めるとテレビより映画。作為的にならずとも、映像が全てを物語り、届けてくれる」
〇…被爆を追いかける4作品目となる『内部被ばくを生き抜く』では、被ばく者の救済に働く4人の医師にカメラを向けた。混乱する情報の中で、自分の立ち位置を見つけることがどれだけ大切かを問いかける同作品には、全国から上映依頼が殺到している。「求められればどこへでも行く。正しい判断には情報が開かれることが必要だと思うから」
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