「かながわサイエンスパーク(KSP)」(高津区)への移転計画が示されている富士見の県立川崎図書館をめぐり、市民団体「神奈川の県立図書館を考える会」が川崎南部での存続を求める政策提言を行っている。KSPでは蔵書を収容するスペースが確保できず、図書館機能の低下につながることなどが主な理由だ。移転が発表されてからまもなく2年が経過する中、同会は同図書館をめぐる実態、実情を市民・県民に知ってもらおうと11月8日、シンポジウムを開く。
1958年に開館した県立川崎図書館は自然科学・技術工学分野の図書、雑誌、特許、企画を所蔵する。2012年、県の緊急財政対策の一環として一時は廃止問題が浮上。その後存続へと方針が変わり、2013年12月に黒岩知事がKSPでの存続を表明していた。
これに対し、市民・県民感覚から図書館の在り方を考える「神奈川の県立図書館を考える会」はKSPへの移転に異議を唱える。主宰者の岡本真さんによると、KSPでは「蔵書の容量が圧倒的に足りない」と指摘。また、同図書館がバブル崩壊以降、減り続ける企業内専門図書館の代わりとしての役割を果たしていることを挙げ、現行の規模が縮小や分断された場合、「法人からすると、神奈川で事業を営む意義が薄くなる」として、経済的損失が発生する恐れにもつながると語る。岡本さんは同図書館を利用する企業からみても、KSPは交通アクセスが悪いとし、候補としてはより利便性の高い市南部を示唆する。
同会によると、県からKSPに移転の打診はなされていないという。発表から間もなく2年を迎える中、同会では同図書館をめぐるこれまでの実態、実情を知ってもらおうと11月8日、横浜市中区の「さくらWORKS」(最寄駅は関内)でシンポジウムを企画。「県立川崎図書館の行方を問う」と題し、神奈川県資料室研究会の末廣恒夫氏、県立高校図書館司書の田子環氏、元神奈川県立図書館長の林秀明氏が登壇し、意見を交わす。市議や県議も招き、市政、県政の立場からの報告も行われる。「市として本来持っている財産がどうなるのか、関心を持っていただければ」と岡本さん。午後3時から6時。入場無料。問い合わせは、【電話】070・5467・7032。
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