川崎漁協組合 多摩川のシジミ・アサリ出荷へ 市北部市場を通して販売
川崎区の多摩川河口とその沖合で採れるシジミ、アサリを、川崎河川漁業協同組合(井口文雄組合長)がブランド化し、川崎市北部市場に卸す。同組合が、海産物を市場に卸すのは今回が初めて。
多摩川河口付近にはシジミ、アサリが1970年代まで多く生息していたが、汚染水などの流出により徐々に姿を消していった。しかし、浄化施設による川の水質改善で、多摩川河口のシジミ、アサリの繁殖力が高まり、7年前から多摩川河口域で再び採れるようになった。東京都の水産課によると多摩川河口のシジミ、アサリの水揚げ量は流通センター出荷分だけでも年間およそ80トン(約1700万円)から100トン(約2000万円)に上るという。
河口一帯は、漁業権の設定がなく自由漁業の地域だったため、隣県の漁船が来るなど、乱獲による資源の枯渇を危惧する声が高まっていた。
そうした声を受け、川崎漁業協同組合では資源を守るため、9月1日付で漁業権を獲得。合わせて、11月上旬には同組合の有志が集まり、40年前に使われていた名前を復活させるかたちで『江戸前羽田シジミ』『江戸前羽田アサリ』として、宮前区の北部市場に卸すことを決めた。
現在は以前から多摩川のシジミ、アサリを卸している大田漁協から出荷までのノウハウを教わるなどして体制を整えている状況。採捕したものはその日のうちに北部市場に運ばれ、翌日の競りを通じて市場に出回る。シジミは12月中ごろ、アサリは来春の初出荷を計画している。
同組合中原地区長の安住さんによると「多摩川のシジミ、アサリは貝の模様がくっきりしているのが特徴。味もしっかりしていて深みがある」という。漁業権の取得の意義については、「漁業者でシジミやアサリを独占するということではなく、あくまでも乱獲を抑えるための処置。自宅で消費する分については制限しない」というが、「15ミリ以下のものは資源の保護という意味でも獲らないでほしい」と話す。今後は「禁漁時期を設けるなど一定のルールを決めて、多摩川の資源をみんなで守っていきたい」としている。
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