相模原市教育委員会は、市内すべての市立小中学校を対象にした新たな食物アレルギー対応マニュアルを今年度中に策定するため、学校長、給食担当教諭などで構成する「相模原市立小中学校食物アレルギー対応検討委員会」を5月に立ち上げた。食物アレルギーを持つ児童・生徒の実態調査を行い、強いアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を発症した際の対応などをまとめる。もしもの際、迅速に適切な対応がとれるよう、各小中学校で模擬訓練の実施も検討していく。
食物アレルギーへの対応は昨年12月、東京都調布市の小学校で、食物アレルギーを持つ女児が給食を食べた直後に死亡した事故を受け、動き出した。
市ではこれまで、2010年に給食室を持つ小学校54校を対象に「食物アレルギー対応マニュアル」を策定していた。しかし、同マニュアルは安全に給食を提供する点に主眼を置いていたため、アナフィラキシーショックを発症した際の対応については記載がなかった。検討委員会では、現場の声を慎重に聞き、適切な対応がとれるマニュアル策定を急ぐ。
適切な処置で守る命
給食外の対応も検討
新たなマニュアルでは、おかわりをする場合の対応など、これまで記載の無かった内容を補充していく。調理実習や課外授業など給食以外での対応も協議し、まとめる方針。
一方で、食物アレルギーの研究はまだ歴史が浅く、新しい医療分野という側面がある。そのため、世間一般で知識や理解が不足している現状もある。そこで市教委では、16日に橋本小(緑区)で教職員を対象にした食物アレルギー研修講座、20日に市内全市立小中学校の教職員や学校保健会役員、消防職員などを対象にした大規模な対応研修会を開催、ともに会場は満員となった。「研修会後も、『うちの学校でも開いて欲しい』といった声を多く頂いている。先生方の関心は非常に高い」(市教委)という。発症した際の「模擬訓練」を、各市立小中学校で今年度中に実施することも検討していく。
医師・保護者と連携もカギ
現在市内の市立小中学校で、食物アレルギーを持ち、アナフィラキシーショックを起こした際の緊急注射器「エピペン」を所持する児童・生徒の数は、50〜60人程度とみられている。過去に食物アレルギーがあったなど、グレーゾーンの子どもがいる可能性も否定できない。これら児童・生徒の安全を確保するための緊近の課題として、学校、保護者、医師の三者が日ごろから連携する必要を指摘する声もある。市教委では今後も、専門医などを講師に招き研修会を開催していく。
さがみはら中央区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|