大野北地区で来年2月から、コミュニティバスの実証運行が開始される予定だ。地区内の住民の高齢化が進み、既存の路線バスだけでは買い物や通院のための移動が困難なことから、4年前から地域主体で導入を検討してきた。市内では橋本駅と相模川自然の村を結ぶ「せせらぎ号」に次ぎ、2例目。区内では初の運行となる。
高齢者の足に
コミュニティバスとは、駅やバス停から一定以上の距離がある交通不便地区で、高齢者などの日頃の移動手段を確保するための公共バス。同地区では日中のバスの運行本数が少ない上、高齢化も進み、車や自転車が利用できない住民が多いことから、通院や買い物が困難な状況にあった。
そうした住民の声を受けて同地区では2009年、大野北地区コミュニティバス検討委員会(河本博会長)を設立。運行ルートを作成し、住民への需要を図るアンケート調査を実施した。有識者を含めた検討を重ねるなど、地域と市、事業者である神奈中バスとの3者協働で計画を進めこのほど、運行にこぎつけた。
カギは利用促進策大野北コミュニティバス
バスは30人ほどが乗車できる小型ノンステップバスを使用。淵野辺駅から矢部駅を通り馬場交差点(町田街道)を経て淵野辺駅へと循環する(1循環50分を想定)。運行距離は9・4Km。運行時間は、平日午前7時台〜午後7時台、土休日午前8時台〜午後6時台。運賃は大人初乗り170円(最大210円)。停留所は20カ所設ける予定。
厳しい運行条件
コミュニティバスは【1】1便あたり輸送人員が10人以上、【2】運賃収入が車両代等を除いた経費の50%以上という二つの条件を満たすことが本格運行への条件だ。まずは、来年2月から予定されている2年間(最大3年間)の実証運行期間での条件クリアが課題。ただし本格化移行後も2年連続で条件を満たさなければ廃止となる。すでに検討委員会は発展的に解散し、利用促進協議会(河本会長)に移行。ルートの一部である町田街道沿いの住民や、淵野辺・矢部駅を利用する学生を対象に、利用促進を図りたい考えだ。
アイデアが必要
現在は、麻布大学や桜美林大学の学生が手がけたバスの車体デザインの選考を地域投票で行っており(6月末まで)、これも「地域のバス」として親しみをもってもらうためのアイデアの一つ。市内の先行例である「せせらぎ号」は、バスの利用促進とPRを兼ねて、地元の小学校に車体を持ち込み、交通安全教室を行うなど、地道な周知活動を行っている。「地域の中で、利用促進のためのアイデアがいかに出てくるか。市も一緒に考えていきたい」と市交通政策課では話している。
「来年の運行がようやく決まり、約5年にわたって地域の住民のためにやってきた。時間はかかったが、計画を進める中でバスを望んでいた人は多かったと改めて気づいた。今後も運行へ向けてまい進していきたい」と河本会長は話していた。
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