第91回箱根駅伝・第5区の区間新記録を樹立した 神野 大地さん 青山学院大学3年 21歳
「箱根の山は通過点」
○…164cm、43kg。小柄な体型からは想像できないダイナミックな走りで箱根の山を制し、弾けんばかりの笑顔とガッツポーズで往路のゴールテープに飛び込んだ。ハイペースで最初の5Kmを通過。「後半足が止まったら…」と一抹の不安がよぎるも「柏原選手の記録よりも20秒速いぞ」と山の頂上でかけられた監督の声で「いける」と確信。区間新記録を樹立し、新「山の神」が誕生した。
○…もともと注目されていた選手ではなかった。陸上を始めたのは中2の時。当時は、県大会さえ出場できない無名の選手だった。それでも中京大中京高校の監督に走りを見込まれ、同校に進学。思うような結果が出ない中、高2で転機は訪れた。高校生ランナーがめざす5000m14分台を達成し、県大会で4位入賞。やればやるだけ結果がついてくる長距離の魅力にはまった。その後、同大の原晋監督に「絶対に伸びる」と声をかけられ、箱根に出たいとの思いから入学を決意。授業との両立や練習量の増加に対応できず、はじめは苦しんだが、焦らずに練習を重ね、昨年はエースとして箱根の「花の2区」を任されるまでに成長した。
○…規則正しい生活を送り勉学にも励むなど、生活面も徹底する青学陸上部。練習が休みの日でも、日々の練習で傷んだ身体の治療や授業で忙しく過ごす。そんな中でも休日の合間には、録りためたテレビドラマを観て息抜き。「恋愛ものが好き」と今どきの学生らしさを覗かせる。新ドラマは「忙しすぎてチェックできていない」とはにかむ。
○…「武器は辛くなった時の粘り強さ」。それは箱根の山だけでなく、平地でも変わらない。今後は必然的に注目が集まる中でも、絶対スピードを強化し、「平地でもやれるという所を見せたい。箱根駅伝は通過点に過ぎない」ときっぱり。目標は、2020年東京五輪でのメダル獲得。箱根の頂きの次は、世界の頂きへ。粘りの走りで未来を拓く。
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