市はこのほど、文化振興政策の一環として検討を進めている相模原市美術館(仮称)の基本構想を策定した。構想には募集していた市民からのパブリックコメントの一部を反映させたが、建設地については、相模原地区と橋本地区の2館体制の案を維持し、両施設で連携を図っていく方針。
絵画や写真などの収蔵美術品を常時展示・公開し、地域活性化に繋げるための市美術館。市は現アートラボはしもとの再整備と、相模総合補給廠の一部返還地に美術館を新設することで、芸術文化の総合拠点づくりをめざそうと協議を重ねてきた。
構想は、今年2月の検討委員会からの答申を受け3月に作成した案をもとに、パブリックコメントの一部を反映した形でまとめられている。パブリックコメントでは構想全体を支持する賛成意見のほかに、市ゆかりの作家の作品収集・保存を生かした事業展開を望む意見が挙がった。一方で、2館体制による機能分散への懸念や、財政負担増を不安視する声もあった。
これを受け、構想では市出身の写真家・江成常夫氏や画家・岩橋英遠氏などの作品の常設展について明記。2館の特徴を生かした様々な事業展開を図るとともに、財政負担緩和策として民間活力の導入も視野に入れる。
補給廠一部返還地の新美術館については、収蔵品公開の機会を増やす狙いがある。現在貸しスペースとして利用ニーズが高い相模原市民ギャラリーでは「公開が不十分」との認識を市が持っているためで、施設整備でその充実を図る構え。
今後はアートラボはしもとの再整備・建て直しが先行。建設費や開館年度などについて具体的な数字は発表していないが、「建設費は10億円はかからないだろう」と市担当者。16年度中の基本設計をめざし、9月議会で補正予算案を上程する見込みだ。
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