日本最難関の国家試験とされる司法試験に、市内在住の元プロボクサー・坪井僚哉さん(26)が挑戦し、このほど合格を果たした。
一発合格まで
坪井さんは、漫画「はじめの一歩」の影響でボクシングをはじめ、大学時代にはプロテストに合格。カウンターパンチを持ち味に「坪井”悟空”僚哉」のリングネームでデビュー戦を3RTKO勝ちで飾るなど活躍し、周囲に将来を期待された逸材だ。だが大学3年生の頃には「もう一つの夢」のために引退の道を決断。「どちらも甘くはない世界。全力で挑戦したかったんです」。15歳から憧れた弁護士への挑戦を始めた。
大学では法学部を専攻していたが、生活はそれまでのボクシング中心の毎日から一変。グローブではなくペンを握り、一日最大20時間半にも及ぶ猛勉強を開始。一年後には、司法試験累計合格率国内5位を誇る名門・神戸大学法科大学院に合格した。そこで司法試験受験資格に必要な2年間の課程を修め、試験直前期には「一日最低16時間」のノルマを課して、今年5月、初受験にして司法試験合格を勝ち取った。
「守れる男」に
「ボクサーで言えばプロテストが終わったばかり。ようやくスタートラインなので、気を引き締めていきたい」と坪井さん。3年に及ぶ猛勉強で、ボクサー時代に1・2あった視力は0・3に低下。極限まで自身を追い込んだ勉強漬けの日々では胃潰瘍にもなった。そんなストイックな姿から周囲に心配されることも多かったが「ボクシングでも勉強でも、自分は『才能』の人間ではないことはわかっていました。時間もなかったので、人より頑張るしかなかった」と話す。
合格を手にした坪井さんが今抱く一番の思いは「両親への感謝」だという。「本当に心配をかけたけれど、その支えがあったからこそ僕は頑張れたと思うんです。期待に恥じない立派な法律家をめざして、早く恩返しがしたいという気持ちです」。坪井さんは今後、法律事務所に就職し弁護士としての現場経験を積む予定。法整備が不十分とされる児童施設の子どもたちの支援活動に携わることが目標だ。「自分が守りたいと思える人を守れる様な男になりたい」―。幼き頃に描いた夢に、また一歩着実に近づいた。
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