市内の大雪被害 難航した除雪作業 早期復旧に課題残す
関東甲信地方で二週に渡り大雪に見舞われた今月。市内でも15日に相模原市消防本部前(中央区)で56cmの積雪を記録し、1968年の53cmを46年振りに更新。重傷を含む人的被害や家屋の損傷など、多くの被害が発生した。こうした状況の中、ライフラインの根幹となる物流の復旧に遅れをとるなど、今回の想定外の大雪は、災害に市がいかに備えるべきかという課題を残した。
市内の積雪量は15日に、中央区で56cmのほか、非公式ながら緑区青根で104cm、南区で23cmを記録。市によれば、市内の被害状況は23日時点で、人的被害が101人(重症含む)だったほか、雪の重さで2階部分が潰れるなど、家屋の被害状況も報告されているという。加えて農産物、畜産物ともに被害額1億円以上を見込んでいる。
一方で、この大雪は都市部のライフラインの早期復旧に対する脆弱さも露呈させた。進まない除雪作業に物流は寸断され、移動は極端に制限された。
想定外にいかに対応
大雪の除雪に対しては、市と一般社団法人相模原市建設業協会(篠崎栄治会長)の間で、凍雪害対策業務委託を締結。市直営の作業員に加え、市からの要請があった場合、同協会が市道、県道(一部国道含む)の除雪に従事する。今回も7日、14日の降雪時とも要請を受け、作業にあたった。
同協会の篠崎会長は「市からの要請に十分に応えられない現状もある」と話す。長引く、建設不況から、倒産や廃業を余儀なくされる地元建設業も多く、同協会の加盟数はピーク時の1996年に112社だったが、現在は59社と半減しているからだ。そのため、1社が担う除雪の範囲は年々広がっているという。加えて、除雪に使う重機は通常の工事ではあまり使用しないという現実もある。そのため、厳しい経営環境の中、経費節減から、重機を売却し、リースに頼る企業も多く、非常時の対応が遅れる会員もいる。今回の大雪でも、会員によっては、15日早朝の除雪に重機の手配が間に合わなかったり、社員の確保ができなかったりして、出動できないケースもあったという。
市では、同協会だけでは対応できない除雪をカバーするため、造園や管工事など重機を持つ企業へイレギュラーで出動を要請するなどの対応に追われた。篠崎会長は「昼も夜も無く作業に追われたが、当日は雪が多すぎて、道の端に寄せることしかできなかった。一社あたりの受け持ちの範囲が広くなるとその分、除雪作業は遅れてしまう」と振り返る。「災害時に使える重機を購入する際には低金利で貸してくれないかといった声もでている。災害復旧に貢献する市内業者へのケアもして頂きたい」と話した。中央区を担当する市中央土木事務所は「日常も使い得る重機に対しての助成は難しい」と話す一方で、「建設業協会から挙がった要望については協議していく。今回の大雪についても検証していきたい」と話し、今後の災害対策についても言及した。
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