神奈川医療少年院 地域に開かれた運営探る 参観増加 盆踊りも初公開
中央区小山の神奈川医療少年院はこのほど、運営の透明化を目的とする新たな「少年院法」が来年度から施行されるのを前に、これまで以上に地域に施設を広く広報していく方針を掲げた。院内参観のほか、地域住民との交流機会も増やし、「社会に開かれ、地域に支えられる少年院」をめざす。
同院は、家庭裁判所から保護処分として送致の決定を受けた、おおむね12歳以上20歳未満の男子少年のうち、知的障害およびそれに準じた処遇を必要とする者、情緒的に未成熟などの理由で社会不適応が著しい者への矯正教育を実施する施設。同院の前身は、現在の小山小学校、小山中学校を合わせた敷地で運営していた神奈川少年院が1978年3月に廃庁となり、同年4月に東京医療少年院が同所に移転し、現在の院名となって運営を開始した。
現在、60人程度の生徒が在院。在院期間は標準的に11カ月。生徒らは、院内生活の心構えや自己への問題意識を深めさせる新入時教育、基本的な生活習慣や情緒の安定を図る中間期教育、生活習慣の定着や社会復帰の準備期間にあたる出院準備教育の3つの期間を経て、課程を修了する。教育活動については毎月成績がつけられ、達成状況などによって進級していく。出院準備教育では、社会での実際の労働に近い形で農園芸や工場実習などの技術の習得を図る。
同院は今回の新たな少年院法の成立を契機に、「社会に開かれた施設運営の推進」をめざし、地域への広報活動に重点を置くこととなった。同時に、参観で来院した人たちからのアンケートによって聴取した少年院に対する「怖い」、「中で何をしているかわからない」といった参観前のイメージの払しょくも図る構え。来院の前後で印象を聞くと中身が異なり、「院での活動がわかり、安心した」などの意見が聞かれるという。加えて各課程で作業に取り組む生徒たちにとっても、周囲に自分たちの存在を認めてもらうことで早期の社会復帰を促すねらいもある。
その広報活動の第一弾が、7月24日に同院グラウンドで行われた盆踊り大会(=下写真)の報道への公開だった。浴衣姿の生徒たちは、民間協力者や地元の踊り手たちとやぐらを囲みながら思い思いに踊るなど、一時の涼を楽しんだ。この公開は報道機関限定だったが、同院では今後、地域交流行事を増やしていく考え。近年、同院は参観の門戸を広く開放しており、現在は1カ月に15〜20団体が訪れるなど、その数は増しているという。このほか、災害時には帰宅困難者などを受け入れる避難所となるよう、市と連携し、協議していく考えも明らかにした。
田中徹院長は「少年たちは出院後、地域に帰ることになる。そのため、少年院が地域社会とつながっていることは大事だ」と話し、地域との関わりを深める取り組みを一層強化していく方針を示した。
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