急患「たらい回し」に防止策 相模原市が今月から県内初実施
重度救急患者の搬送先となる病院を速やかに確保するため、相模原市は12月1日、新ルール(通称:相模原ルール)を県内ではじめてスタートさせた。これは急患の受け入れを照会しても、満床や医師の不足などを理由に医療機関が受け入れを拒む「たらい回し」を防ぐことが狙い。新ルールでは、北里大学病院救命救急センター(南区北里)が一時的な受け入れ先となる。
相模原ルールは緊急性に基づき、重度救急患者の受け入れを医療機関へ4回以上照会しても決まらない場合か、救急隊員が現場に到着してから30分以上収容先が見つからない時に適用される。この場合、同センターが一時的に受け入れ、必要な処置を行い、その後、当番で決められた救急病院へ搬送する。相模原市では、県が3月に「急患搬送と受け入れの実施基準」を策定した後、県内の自治体でいち早く基準を定めた。
相模原市消防局では、「たらい回し」防止策として、同ルールに期待を寄せる一方、「あくまでひとつの決まりであり、実際の現場では救急隊員の臨機応変な対応が必要になる」と話す。昨年、市内で救急搬送されたのは2万8180人。今回のルールの対象となる重度の救急患者は526人だった。そのうち、同ルールが適用されていれば、推計で80人ほどの患者の「たらい回し」を防げたことになるという。
「たらい回し」を防ぐには市民の意識改革も重要になる。救急車を適正利用しない人が多いことがこうした事態を招いているからだ。昨年の救急車の出動件数は3万630件。実にその半数以上は緊急性に乏しい軽症患者だったことが明らかになっている。
同消防局では「こうした軽症患者が救急車を安易に呼ぶことが、重度救急患者の命を脅かすことにも繋がる」と指摘しており、現在、ポスターや横断幕の設置などで、適正な利用を呼びかけている。
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