高齢化と比例して増加する亡くなる人の数。相模原市内で新たな問題として挙がっているのが火葬場だ。市内唯一の火葬場を持つ市営斎場(南区古淵)では年々利用件数が増え、2019年、20年には同斎場での火葬可能件数の定数を超える見込み。市では昨年11月に「新たな火葬場のあり方等検討委員会」を発足した。今月16日には、第4回の委員会が行われ、現状、課題を抽出。今後、新しい火葬場が必要かどうかを含めて議論していく。
市内唯一の火葬場を持つ相模原市営斎場は、1992年に開設。2011年度の利用数は5368件で、2010年度5089件より279件増加しており、年々増加傾向にある(左表参照)。この先も増加は続く見込みで、2019年、20年には火葬可能件数の定数を超えるという。そこで市では、市民や大学教授などの有識者を交えて発足した「新たな火葬場のあり方等検討委員会」の中で、現状の把握、課題などを協議したうえで、新たに火葬場を設ける必要があるかなどの検討を始めている。委員会での話し合いは、来年度までに10回程度を予定しており、協議を行ったうえで、提言書としてまとめていくという。
地域で利用数に差
現在、市営斎場の火葬炉は11基。1日に取り扱うことができる火葬件数は19件。慣習上、利用日は曜日が限定されることもあり、希望日が重複することもあるという。市内在住なら優先的に無料で利用できる一方で、市外からも有料で利用することができる。その数は年間約600件あり、立地的に町田市民の利用が多く、市内在住者も同程度市外の施設を利用しているという。また、津久井旧4町では、1年間の死亡者数685件(2010年)の中で、市営斎場を利用したのは408件。無料で利用できるメリットがありながら、距離的な影響もあり、上野原や南多摩(町田市、八王子市、多摩市、稲城市、日野市の組合で運営)、愛川町などの火葬場を料金を支払って利用するケースが多いのが現状だ。
稼働率増も検討
新設の必要性の有無探る
市営斎場は、地域住民との協定の中で施設を拡張することが認められていないことから、今後の件数増加に対し、【1】火葬時間を短縮し稼働率をあげること【2】火葬枠を増加すること【3】待合室の整備などを検討。同委員会では、施設の供用開始から19年経過していることから大規模修繕の対応策、地域格差をどう埋めるかなどを、短期的、長期的な視点で話し合っていくという。
市内の業界関係者は「地域バランスの差は以前からあった。確かに今後の増加に対し、新しく施設を作るかどうかは大きな問題。ただ新しく作るとなると、周辺住民の問題もあるので、簡単にいかないのでは」と話す。現施設は整備費に約77億円、年間の維持管理費約2億5千万円(委託含む)に対し、使用料収入が約5千万円とコストがかかっていることも、仮に新設する場合の判断資料としてあげられている。「準備するにしても火葬件数を超える2019年までに時間がない」「将来の子どもたちに負担がかからないようにしなければ」「民間の資金を活用するPFI手法も検討材料」といった意見をふまえながら、新設の必要性の有無を考えていくという。
市では「委員会で話し合われたものを来年度を目安に提言書として取りまとめ、市として対応していきたい」と話している。
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