神奈川県内で約40頭しか生息数がないツキノワグマが先ごろ、牧野地区の山中に設置された「くくりわな」に誤ってかかってしまったため、相模原市内の山中に放獣された。絶滅の恐れがあるツキノワグマだが、今年度の目撃情報は昨年度のペースを上回っており、市は地域住民に対して警戒を促している。
イノシシの捕獲用に設置された「くくりわな」にかかっているツキノワグマが確認されたのは8月26日の午前11時過ぎ。仕掛けた住民が気付き、県に連絡した。県によると、捕獲されたのは体長約140cm、60〜70kgで、オスの若い成獣だという。同日午後7時過ぎに市内の山中に放獣された。
ツキノワグマは全身が黒く、胸に三日月形の白斑があるのが特徴。絶滅の恐れがある野生動植物を公表している「神奈川県レッドデータ生物調査報告書2006」の中でも「絶滅の危機に瀕している種」とされる「絶滅危惧I類」に位置付けられている。県内では丹沢山地にのみ生息しており、相模原市緑区をはじめ、清川村や山北町などで多く目撃されている。全国的に個体数が減少しているが、国が鳥獣保護管理法で定める「狩猟鳥獣」に含まれているため、狩猟することは禁止されていない。県央地域県政総合センター環境部環境調整課によると、「県内でのツキノワグマの生息数は約40頭と非常に少ないため、県として現在は狩猟を自粛している」という。
区内で目撃相次ぐ
ツキノワグマと思われるクマの目撃が区内で相次いでおり、今回の錯誤捕獲を除き、今年度ですでに7件も起きている。昨年度同時期(4〜8月)の5件を上回っており、出没のピークは栄養を蓄える秋とされているため、農作物の出来次第では、いっそう増加することも懸念される。市は「見かけた場合はすぐに津久井警察署または津久井地域環境課までご連絡ください」と呼びかけている。
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