「母ちゃんず」(竹内亜紀代表)は、福島第一原発事故の影響から、放射線量の高い屋外で安心して遊ぶことができない福島県在住の親子を相模原市内などの公共宿泊施設に無償で招き、自然を体験して心身のリフレッシュをしてもらおうと、保養キャンプを開催している市民団体だ。2012年3月の初開催以降、年に2、3回のペースで実施。昨年夏までで13回を数える。
毎回、福島市、郡山市、本宮市、安達郡、いわき市
などから40人超が参加。参加者を募集すると、即日定員に達する。今年も3月29日から、春キャンプが行われる。
「母親たちは事故の話をすることで、人とぶつかり疲弊してきている。だから、キャンプでもあまり原発や放射能の話はしない。でも匿名だと、あふれる思いを伝えてくれる」。毎回、キャンプ終了後に母ちゃんずでは、数人の参加者から感想や現在の心境などを寄稿してもらう。その中で、一人の母親の声が竹内さんの心を強く打った。
声の主は、昨春のキャンプ参加者で、震災当時に妊娠していた郡山市在住の母親。原発に対しての意識が薄く、事故直後も息子を連れ頻繁に外出していた。その後、お腹の子どもが死産してしまうと、原発の影響を疑ってしまう。専門機関からは「原発事故との関連性はなし」との返答。因果関係を証明する術はないとわかっていても、後悔の念に苛まれた。
そんな中、保養キャンプの存在を知り参加。母子ともに笑顔になれることに喜びを感じた。そして、その母親は文末にこう綴る。『私は、今後も福島に住み続けようと思っています。放射線のことが気にはなりますが、外遊びもさせていますし、こどもたちは以前とほぼ変わらない生活をしています。ただし、低線量被曝からこどもたちを守るために、母親として、2つのことを必ずやっていこうと心に決めています。こどもたちを保養に行かせることと検査を定期的に受けることです。そのためには支援が必要です。どうか今後も継続的な支援をよろしくお願い致します』
「これを読んで涙が出た」という竹内さん。「新しいことが起こると、それ以前のことは次々と忘れられていく」と語気を強め、「全国で展開されていた保養活動も減っているそう。自分たちの活動が求められているのであれば、これからも絶対に続けていきたい」と強い決意をにじませた。
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