アートで落書きに対抗 市民の防犯意識を街並みに
原町田4丁目エリアでペンキアートによる街づくりが広がっている。老舗乾物店の河原本店のシャッターにはダイオウイカのデザインが描かれ、多くの通行人の足を止める。落書きに悩まされた地域でアートによる景観復活作戦が始まった。
河原商店のシャッターには躍動感あふれるダイオウイカの製作が始まっている。店主・河原一慶さんは4月から、知り合いの市内絵画教室「アトリエ一番坂」(舘岡豊照代表)と協力してシャッターにアートを描く活動を開始した。生徒と一緒に取り組んでいる絵は街行く人から「ダイナミックな絵で街が明るくなっていい」と評判だ。町内会でも同様に原町田4丁目第一町内会館で「獅子舞」や「七福神」、「祭り」などをテーマに「アートによる街づくり」が行われている。しかし、この活動は「落書き」に対抗する手段だった。
落書きとの戦い
同エリアでの落書きとの戦いは10年以前から。当初は落書きを消すことに力を入れていたが、落書きは繰り返された。今度は消した上に絵を描いて落書きを阻止。この10年間は落書きによる被害がなくなった。舘岡さんは「犯人にも芸術を愛する気持ちが残っていたのでは」と当時を振り返るが、被害はまた繰り返された。
10年ぶりに被害
昨年に入ると、同町内会会館の敷地内にある防災倉庫が何度も落書き被害を受けた。同所の落書きは昨年7月、町田青年会議所が行っている清掃活動「まち☆クリ」できれいになったが、その後も被害を受け、11月には町内会長を務める河原さんの提案で絵が描かれた。しかし完成した次の日にまた絵の上からスプレーで塗りつぶされた。また倉庫の鍵穴は塗料が詰まり開かなくなっていた。同じように、河原商店も今年1月に絵の上に被害を受ける。
2つの落書きのデザインは酷似、「まさか絵の上に落書きをするなんて」と舘岡さんは憤慨する。しかし「犯人に屈してはいけない」と河原さんは諦めずに近隣の子ども会や住民の協力も受け絵を復元した。さらに2台の防犯カメラと夜間の治安維持のための照明設備を計画。現在着工中。
市は緊急時に防災倉庫が必ず使用できるようにフェンスを設置し、町田警察署はパトロールの強化など継続的に防犯に取り組んでいる。街を守ろうという市民の活動が行政や警察を動かし、また市民、事業者など地域が一体となって防犯意識が高まった。
今後の展望について河原さんは「こういった活動で皆の関心が街に集まり、より安全で素敵な街を作れれば」と語り、舘岡さんは「コンピューターでない手書きの温かさが街に溢れれば、よりいい街になるのではないか」とコメントした。
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