日本代表をかけた日本陸上選手権大会。関根花観選手は大雨の中、しっかりと前を見据え、常にトップ集団の中で引っ張り続けていた。「もしかしたら、夢が現実になるかも」
両親はもちろん、中学校の時の恩師や校長先生ら多くの人が愛知県のスタジアムに集結していた。女子1万メートルの決勝。周回を重ねるごとに、人々の想いがさらに熱くなっていく。「ケガだけはしないで欲しい」。大雨で最悪のコンディションの中、スタート当初は足を滑らしたり、選手同士の接触など心配事のほうが強かったが、しっかりとした足取りが、心配を払しょくしていった。
人々の支え
最初に会ったのは中学生の時。全国都道府県駅伝に出場した時に取材した。中学で記録を残し、高校は推薦で進み、初めての寮生活となった。しかし環境の変化のためか、食が進まず、摂食障害に悩まされる。その時に支えてくれたのが、中学時代の陸上部の恩師。毎日、食べたものをメールで送り、そのメニューを恩師が栄養士に相談する。そして、食事方法や量などをまた指示する。心身ともに苦しい時を過ごしたが、何よりも彼女の心を、恩師だけでなく当時のコーチやチームメイトら多くの人が支えた。
期待に応える
高校を卒業して、日本郵政グループに就職する。陸上部に入部し、新たなステージへと進んだ。高橋昌彦監督は「素直にスポンジのようにドンドン指示を吸収する選手」と評したことがあった。大会前にレース展開の指示が監督からある。かなり厳しい要求も、「監督が大丈夫って言ってくれたので、できると思いました」と平然と答える。監督からの要求に応えようと努力し、クリアしていく。その努力に応えようと監督も要求を高めていく。「素直に聞いてくれるから、その能力を引き出したくなる」。高橋監督はこうも評した。
地域の関心
日本代表が決まり、地元でも変化が起こった。7月に行われた地域のお祭りでは、応援する看板が立てられ、あいさつの中でも応援することが多かった。金井商店会の林伸光会長は「身近なところからヒロインが出てくれて本当にうれしい」と目を細める。「どんな応援をしていいか分からないけど、テレビの前でしっかり応援するよ。帰ってきたら、ぜひみんなの前で体験したことを話してほしいね」。そして続けて、「金井地区は山坂が多いからかな。でも車が多くて危ない場所もあるよね。練習はどこでしていたのかな」と心配していた。練習場の整備や場所の確保。地域が関心を持つことも応援の一つ。こういった環境が続けば、また多くの子どもたちが世界を舞台に羽ばたけるようになるはずだ。
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