今秋プロ野球ドラフトで、最も注目を集めている桜美林大学の硬式野球部の佐々木千隼(ちはや)投手。9月から始まった首都1部リーグでは開幕戦から2完封と絶好調。大学最後のリーグ戦が始まった今、指導する津野裕幸監督に佐々木投手について聞いた(9月15日取材)。
「会ったらびっくりしますよ。やんちゃ坊主で。闘争心の塊みたいな目ですから」と津野裕幸監督が佐々木投手を紹介する。
佐々木投手は日野高校卒業。甲子園の出場の夢は日大三校の前に破れた。当時は投手だけでなく、打者としても活躍。大学に進学後も1年生の時は、内外野も練習し打者としての可能性も残していた。「今でも気分転換に打撃練習していますよ。120mあるバックスクリーンにダイレクトでボールを運びますよ」と津野監督。
2年生からは投手に専念。「『オレを投げさせろ』っていつも目で訴えかけてね」。しかし、「自分が抑えてやる」という気持ちが強いためか、乱調で試合を壊すこともあった。「試合途中で変えたり、投げさせないこともよくありましたよ。天狗にさせたくなかった」。チームが勝つために何が必要なのかを考えさせた。最初は「ぜんぶ自分で抑えてやる」という気持ちから、「打たせて取る」へと変わっていった。「野球は相手の得点が最終的にゼロだったら、1点取れば勝てるスポーツ。そういうことが分かってくれたのかな」。今では100球前後で投げ切るようになった。
練習のムシ
「正直、こんなに成長するとは思いませんでした」。津野監督が初めて会った頃を振り返る。数多くいる新入生の一人だった。「大勢の中の一人」から少しずつ佐々木投手が浮かび上がってくる。コツコツと練習し、指導を受けたことを守り、嫌いだったウエイトトレーニングもメニューも受け入れていった。「本当によく練習していたよ。試験中もクラブハウスで勉強して、自主練習もがんばっていた。そういうことの繰り返しで、実力を手に入れたんだろうね」。
当時は時速140Kmほどだったストレートが、ウエイトトレーニングの効果もあって今では153Kmまで伸びた。球速や野球への考え方も変化したが、津野監督いわく、「色々な面で大人になったよ」と笑う。10月20日、プロ野球ドラフト会議が開催される。無名だった選手が、プロ野球を背負う選手として注目される。
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